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海岸ごとの具体策示す/相模湾沿岸海岸侵食対策

2011/04/02 日本工業経済新聞(神奈川版)

 県は、相模湾沿岸一二海岸について、海岸ごとに養浜を主体とした侵食対策を行うため、「相模湾沿岸海岸侵食対策計画」を策定した。

 計画は、「砂浜の回復・保全」を最も効果的な海岸保全対策とし、山・川・海の連続性をとらえたなぎさづくりを行うことによって、将来にわたる「美しいなぎさの継承」を目指す。

 砂浜の保全だけでは海岸保全が困難な海岸では、必要最小限の護岸等の施設を設ける。

 砂浜の現況の安定性と消波機能を評価した上で、沿岸海岸を四つのタイプに分類し、今後の侵食対策の基本方針を設定している。

 具体的に、侵食傾向にあって波消し機能が不足している海岸を〈タイプA〉とし、計画的な養浜を中心とした侵食対策を実施する。茅ヶ崎中海岸地区、横須賀海岸秋谷地区、西湘(大磯・二宮)海岸、小田原海岸国府津地区の四地区を〈タイプA〉とする。

 安定傾向にはあるが波消し機能が不足している海岸は〈タイプB〉とし、既存護岸の改良等と合わせてサンドリサイクル(砂の流れの下手側に堆積した砂を侵食している上手側に人工的に戻す)手法等により砂浜の保全を図る。小田原海岸前川地区がこのタイプとなる。

 侵食傾向にあっても〈タイプA〉ほど著しくなく、波消し機能を保持している海岸は〈タイプC〉に分類し、維持的な養浜を行う。平塚海岸、鎌倉海岸、逗子海岸、三浦海岸などがその対象となる。

 また、砂浜は安定傾向にあり、波消し機能も保持している海岸は〈タイプD〉として、サンドリサイクル手法等により、現状を保全する。藤沢海岸、湯河原海岸吉浜地区、葉山海岸などがこのタイプとなる。

 侵食対策の実施にあたっては、〈タイプA〉の海岸を優先的に、重点的に行うとともに、他のタイプの海岸についても、継続的に対策を実施することとする。

 全体計画養浜量三〇万立方㍍の茅ヶ崎市海岸地区では既に、二二年度末までに約半分の一五万立方㍍の養浜が終わる見込みとなっており、今後五年間で残りの一五万立方㍍の養浜を実施し、二七年度の完了を目指す。

 横須賀海岸秋谷地区では、全体で八万立方㍍の養浜を計画しており、二四年度中には計画を達成させる予定。

 また、二宮海岸二宮地区については、養浜と海岸保全施設の併用により砂浜の回復を図る。





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