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清水建設・福岡都市技術を選定/区画整理組合設立準備委 海老川上流地区の事業協力者に

2011/07/15 日刊建設タイムズ

 船橋市の海老川上流地区土地区画整理組合設立準備委員会は、清水建設・福岡都市技術グループを事業協力者に選定し、6月2日に両社と覚書を締結した。これを受けて同グループは、今年度内を目標に新たな基本構想(案)を作成して地権者に提案するなど、事業化を推進することにしている。同事業では、社会経済情勢や仮同意率が上がらないことなどを理由に、業務代行予定者だった有楽土地が昨年3月に撤退。その後、準備委員会では複数の企業、グループから提案を受け、清水建設・福岡都市技術グループを事業協力者に選定した。

 海老川上流地区土地区画整理事業予定地は、市のほぼ中央に位置。東町、米ヶ崎町、夏見にまたがる面積約78.5haを施行区域として、組合施行で計画されている。海老川の水辺空間や緑との調和など、自然環境に配慮した21世紀にふさわしいまちづくりを目指すとしており、土地区画整理事業予定地内を通る東葉高速鉄道の新駅設置も想定している。

 1993年度に地権者代表による地域づくり代表者懇談会が発足し、まちづくりの勉強会を開始。96年度の東葉高速鉄道開通に合わせて土地区画整理組合設立準備委員会が組織され、翌97年度には業務代行方式を想定して財団法人区画整理促進機構に民間事業者の紹介を依頼し、紹介された民間事業者の中から、有楽土地を業務代行予定者に選定した。

 98年度以降は、準備委員会と業務代行予定者に選ばれた有楽土地が協力して関係機関との協議や用地測量、事業計画案の作成等を進め、04年度に事業計画案をまとめ地権者に対する説明会を開催、併せて仮同意の取得も開始した。しかし、仮同意は09年3月末現在で人数ベースで78.6%、面積ベースで73.9%にとどまっている。

 こうした状況の中で、09年度に入り準備委員会では仮同意率90%を目標に活動してきたが、同年10月の準備委員会で、仮同意率90%の達成は困難、現在の社会経済情勢から事業化の見通しが立たない-等を理由に、業務代行予定者の有楽土地が撤退を表明。準備委員会も、事業計画案の作成など業務代行予定者が負担した経費について準備委員会に請求しない、作成した各種調査資料は準備委員会に帰属するなどを条件に、撤退表明を受け入れ、有楽土地は昨年3月に正式に撤退した。

 有楽土地の撤退表明後、準備委員会では新たな業務代行予定者を探すこととし、区画整理促進機構に再度、民間事業者の紹介を依頼したが、区画整理促進機構側から業務代行者が撤退するに至った課題点や問題点を検証する必要があると指摘されたため、市に対して10年度予算に検証に必要な調査費を盛り込むよう要請。これを受けて市は昨年度、検証作業を行っており、今後、準備委員会の求めがあれば、事業化に向けて助言や支援を行うとしている。

 なお、有楽土地が中心となり04年度にまとめた事業計画案では、事業費として約375億円を見込み、都市的な土地利用の住宅地の整備、開発のほか、農業的土地利用の継続を求めている一部の地権者にも配慮し、農地等を一定の割合で集合農地として残すことができる特定土地区画整理事業による開発を想定している。

 これに対して清水建設・福岡都市技術グループでは、面積を変えたり、施行区域をいくつかに分け段階的に施行したりすることは今のところ考えておらず、減歩率を有楽土地の案と同程度に抑える一方で、有楽土地が作成した案に固執することなく、東日本大震災で発生した県内の液状化被害にも配慮し、新たに土地の液状化への対策を盛り込むなど、現在の地価の動向や社会環境の変化を踏まえて、新たな基本構想(案)を作成するとしている。

 清水建設の県内での土地区画整理事業の業務代行実績は、72年の新松戸中央土地区画整理事業(松戸市)が最初で、最近では原木西浜土地区画整理事業(市川市)など、これまでに合わせて10件ほどの実績がある。また、福岡都市技術の前身は、1949年に設立された旧財団法人福岡土地区画整理協会で、その後、04年に株式会社へ移行し、今年から現社名に変更している。こちらは、県内において五井駅前東土地区画整理関連業務(市原市)や柏北部東地区一体型特定土地区画整理関連業務等の実績がある。

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