第31回山梨県環境保全審議会で、「温泉法に基づく掘削及び動力装置の許可」を審議。この結果、掘削を旅日記と道志村、また動力装置を萩原ボーリングと個人が1件ずつ、北杜市2件の許可承認が得られた。しかし、北杜市で動力装置の無許可が判明した件で委員からは「他にも無許可の装置もあるのではないのか」という質問があり、それに対し県担当者は「(装置は)外から見ても分かりにくい。これからも設置する業者に指導していく」と今後の方針を答えた。
掘削のうち、旅日記(笛吹市石和町四日市場1679)は、旧酒造工場を改築した日帰り温泉施設の浴用に利用するため、甲州市塩山下於曽一ノ坪919-1地内の宅地にロータリー工法で掘削(深度1500m)を行う。8月中旬から着工し、来年3月中旬の完了を目指す。申請地周辺600m以内に未掘削の既存源泉があり、北北東約1200mに未利用中の個人源泉、約1300mに利用中の甲州市源泉がある。
また丹波山村の掘削は、日帰り温泉施設での浴用に利用する。申請地は、同村からす沢1250地内の雑種地にロータリー工法で掘削(深度1500m)を行う。11月頃から着工し、来年9月の完了を目指す。申請地周辺600m以内に既存源泉はないが、東南東約800mに利用中の同村の源泉、約1400mに個人掘削許可のものがある。申請地は、丹波川を挟んだ国道411号の対岸にある村営つり場駐車場の一角。今回、第2源泉を掘削し、揚湯量の不足している第1源泉の負担を減らし、2つの源泉をバランス良く使用することで、長期に活用出来るようにする考え。同掘削申請は、2009年3月2日に許可をしたが、2年間の許可期限中に着工できず、11年度3月1日に一度許可が失効。このため再度申請をしていた。
一方、動力装置について萩原ボーリング(甲府市上今井町740ー4)は、既存温泉施設(同市上向山諏訪の前1284ー1)での源泉井戸の修繕工事に伴い、約3カ月間のみ、動力揚湯を行わない施設に配湯。動力は温泉用深井戸水中モーターポンプ(川本製作所)で9月15日に着工し、同16日まで(1日間)で完了する見込み。動力は利用期間終了後、撤去される。
北杜市は、白州福祉会館(同市須玉町大豆生田961ー1)の既存動力装置が故障したため、許可を受けずに別の動力を2003年度に設置。11年に判明したことから、無許可状態の解消を図る。今年3月に完了済み。同市の明野ふるさと太陽館(同市明野町浅尾浅尾原5259ー3088)も無許可状態が判明し、別の動力を設置。今年1月に完了済みとなっている。
なお東日本大震災による県内温泉への影響は、「湯量減が2件」「動力装置の故障が1件(修繕済み)」「何十年も使用していない源泉から急に湧出が1件」「メタンガス濃度の上昇が1件」-など5件にのぼった。