月島機械㈱(東京都中央区佃2-17-15、山田和彦社長)や土木研究所など4者が共同開発した下水汚泥焼却炉「過給式流動燃焼システム」を東京都下水道局葛西水再生センターが導入することがこのほど決まった。国内初のターボ型焼却炉で、従来型の流動焼却炉にはない第2世代型焼却炉として注目を浴びている。
従来の高温焼却(850℃)に比べて①亜酸化窒素(N2О)の削減率50%以上②補助燃料使用量削減による二酸化炭素(CO2)の削減率10%以上③電力量削減によるCO2の削減率40%以上-と温暖化ガス排出量を大幅に削減したことで、環境に負荷をかけない、しかも省エネでランニングコストが安い-ことが最大の特徴だ。今年2月に都下水道局の発注工事を同社が約34億円で落札し、2013年度末には同再生センターで日量300㌧規模の施設を完成させ、運転を開始する予定だ。
下水汚泥の焼却時に排出されるN2Оは代表的な温室効果ガスの1つ。国土交通省によると、2004年度時点で全国下水道施設からのCO2排出量の内、約24%がN2О由来のものである。今後、下水汚泥の発生量増加に伴い焼却量も増大すると見込まれるが、とくに従来型焼却炉はN2Оの排出量が多く、しかも炉自体に老朽化が進んでいるため、本システムの登場は地球温暖化防止に資する最新技術として他の自治体から注目されている。
同システムは(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDО)の「都市バイオマス収集システムを活用するためのエネルギー転換要素技術研究開発」事業として、同社と三機工業、土木研究所、産業技術総合研究所が共同開発した技術。北海道長万部町内の終末処理場に日量5㌧規模の実証プラントを建設し、2005~07年度までの3年間、実証試験を行った。さらに東京都とも2009年5月から1年間にわたり温室効果ガス排出量の削減効果等について検証を行い、今回の導入に至った。