昨年8月の集中豪雨で広範囲にわたる浸水被害を出した一級河川矢出沢川(上田市)の河川整備計画について、国土交通省関東地方整備局は先月31日付で県からの申請を認可した。今後は県が主体となり、河川延長約6.6㎞のうち約4.1㎞について河道拡幅や河床掘削などの整備が行われる。計画対象期間は20年間。
矢出沢川は旧上田市と旧真田町の境にある東太朗山を上流端に、上田市街地をほぼ東西に貫流し、途中複数の支川を合わせ千曲川に合流している。現状は人口が集中する中・下流部で流下能力が不十分な箇所があり、先の豪雨以前も溢水による浸水被害がたびたび発生している。
本計画では30年に1回程度の確立で発生すると予想される降雨による洪水(千曲川合流点で240立方m/秒)を安全に流下できる治水安全度の確保を目標に据え、川原田橋渡河部から蛇沢大橋渡河部までの約4.1㎞の区間で河道拡幅、河床掘削、護岸、橋梁架替、管理用通路の整備などを行う。
千曲川の背水(洪水時に本川の水位が上がり、支川の水が流れづらくなり、水位が上昇すること)影響区間については、千曲川の計画高水位に対応する築堤を整備。また、河川沿いに設けられた散策路は親水機能を強化する。
なお、昨年8月の豪雨災害復旧に併せて、今回の整備計画区間のうち最下流部にあたる約1㎞については恒久対策としての河川改修事業を採択。現在400mについて工事に着手している。
所轄する上田建設事務所は「中・下流域は人家が密集し、また計画区間内には橋梁も多数ある。市の管理道路も入り組んでおり、事業は長期間に及ぶだろう。地元や関係機関と連携を密にし推進していきたい」と話した。