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新潟県長岡市

消雪パイプ50年の歴史を振り返る/長岡市で雪氷研究大会

2011/09/28 新潟建設新聞

 消雪パイプ発祥の地での開催となった「雪氷研究大会2011・長岡」。会場のハイブ長岡には、全国から研究者や技術者、企業関係者が終結した。9月19日から23日までの開催期間中は、講演や展示、分科会での研究発表等の多彩なプログラムの展開に、多くの一般来場者も足を運んだ。

 その一つ、21日の公開シンポジウムは「消雪パイプ50年の歴史、そして未来の雪国づくりへ」がタイトル。5人のパネリストが、それぞれ消雪パイプにまつわる思いや期待を語った。

 1959年8月に長岡市坂之上1の笑月ビル前で、初めて布設された消雪パイプ。延長55mのパイプの稼動実験では、10mもの高さに水が吹き上げ、急遽噴出孔の間隔を半分の50cmに改良。半世紀を経た今では技術の進歩も目覚しく、現在普及しているステンレス製の散水器具は、水量調節も可能な秀逸品だ。

 現在、長岡市内のパイプ総延長は750kmを優に超え、冬の訪れを告げるノズルの点検作業は、毎年10月1日に発祥の地、坂之上の市道から始まる「長岡の風物詩」となっている。

 「子どもの頃のパイプは水の勢いが強すぎて高く吹き上げ、避けて歩くのが大変だった」と振り返るのは、パネリストの一人、タレントの大桃美代子さん。山本正男長岡管工事業協同組合専務理事も「雪国には無くてはならないもの。大事に守っていく努力が必要」と述べた。

 さらに、コーディネーターを務めた上村靖司長岡技術科学大学准教授は、60年代の日活映画を紹介。長岡駅前の大手通が映し出される映像に、初期の消雪パイプが紹介されていると説明した。

 地下水の汲み上げに伴う地盤沈下、歩道布設の進め方など、クリアしなければならない課題も多い雪国独特の技術。

 「これからも貴重な宝として継承していく役目がある」との認識で一致した記念シンポジウムには、200人余りが熱心に耳を傾けていた。

【写真=大桃美代子さんらが参加したシンポジウム。会場内では散水器具の展示も】

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