「勝浦地区特定漁港漁場整備事業計画」が先月30日付で計画決定し、県農林水産部部漁港課が計画を公表した。計画期間は2011~18年度で、総事業費25億円を投入し漁港施設や漁業施設の整備を実施する。係留施設や臨港道路などの漁港施設は県南部漁港事務所が、荷捌所などの漁業施設は勝浦漁業協同組合(勝浦市浜勝浦380)がそれぞれ事業主体となり実施する。計画の内容は、県漁港課、県南部漁港事務所で縦覧している。
県が実施する漁港施設の主な整備内容は、①-6.0m岸壁(改良)232m(1989~91年築造)②-6.0m耐震強化岸壁(改良)98m(1989~91年築造)③-6.0m泊地(改良)4万㎡(1989~91年築造)④臨港道路(改良)210m(1966~68年築造)⑤橋梁(耐震)1橋(1967~68年築造)など。今後、詳細設計を委託し、来年度以降に順次工事を実施していく。
臨港道路については、水産物の搬入搬出等のトラックの通行が多く、駐車帯には駐車車両もあり、臨港道路は車両と歩行者で混雑する。このため、臨港道路に歩道を整備し、出荷車両の通行障害を解消するとともに、歩行者の安全性を確保することにより来訪者の積極的な受け入れを促進し、都市との交流をの推進を図る。また、臨港道路にある橋梁1橋について架け換えまたは補強工事を実施する。
一方、勝浦漁業協同組合は、2010~18年度の9か年計画で水産物流通加工施設の整備に取り組んでおり、この一環として、製氷施設、荷捌場、第1市場、第2市場の整備を実施する。いずれも既存施設を解体しながら新施設の整備を進める計画。全体のスケジュールは、2012年度に製氷施設、13年度に荷捌場、14年度に第1市場、16~18年度に第2市場を整備する予定。
今年度は、来年度で製氷施設を新設するため、既存施設の解体工事を実施する。解体工事は今月に着工し、来月中には完了する予定。工事は工建設が施工。また、今後、施設の設計も発注する予定で準備を進めている。製氷施設は自動製氷機を導入する。製氷能力は自動製氷約40t、角氷10t。貯氷能力は270t規模を想定。建屋はS造3階建ての計画。面積は設計の中で詰める。製氷施設は、品質・衛生管理を図るほか、盛漁期の不足氷搬入に伴う車両混雑緩和による作業の効率化を図るため新設する。
なお、同組合は昨年度で冷凍冷蔵施設を整備した。冷凍冷蔵施設はS造2階建て延べ約2077㎡の規模で、設計を今川建築設計事務所(東京都豊島区西池袋3-29-3)が担当。工事は大成建設が施工。
同漁港は、近海かつお一本釣り漁業として全国有数の水揚げを誇る。しかし、大型漁船に対応した岸壁が不足するとともに、陸揚げ、荷さばき作業が効率的でなく、作業の効率化や待ち時間の解消による労働環境の改善の必要性が課題となっている。このため、大型漁船対応の漁港施設整備と一体的に荷捌所の整備を行い、水産物の陸揚げから流通に至るまでの一貫した総合的な衛生管理による、安全・安心な水産物の供給を図ることになった。
また、係留施設と荷捌所を一体的に整備することにより、陸揚げ・荷捌き作業時間の短縮や軽労働化を図ることで就労環境を改善し、出荷機能の効率化により漁業経営の安定化も図られる。
漁港施設については、県や勝浦市の防災計画で、同漁港を災害発生時の緊急物資搬入や避難所の海上輸送の拠点として位置付けているが、岸壁や臨港道路の橋梁は大型の地震に対して十分な耐震性を有しておらず、大型地震災害発生時に岸壁や橋梁が被害を受けた場合、緊急物資輸送等の拠点として十分な機能が発揮されないことから、岸壁や橋梁の耐震強化が急務となっている。このため、地震などの災害時の緊急物資搬入や避難者の海上輸送路の確保のため、岸壁や橋梁の耐震強化を行う。