県総務部管財課は19日、「千葉県県有施設長寿命化指針案」を公表した。今月19日から来月18日までの1か月間、県民の意見を聞くためのパブリックコメントを実施する。県有施設の総数は約6900棟あり、総延べ面積は約390万㎡に及ぶ。指針は、知事部局、教育庁、警察本部のうちRC造、SRC造またはS造で、延べ200㎡以上の常時利用する施設を対象とする。対象となる施設は約2000棟で、延べ面積は約350万㎡に及ぶ。
庁舎、県立学校などの県有施設の約8割は建築後20年以上を経過するなど老朽化が進行し、今後、建て替え、修繕などに多大な費用が見込まれる。このため、費用総額の抑制や年度ごとの費用の平準化を図るため、施設整備の指針を作成することになった。
県の施設は1978年度から1980年度にかけて建築のピークを迎えた。この前後は教育庁の建築が多く、その後、98年度までは知事部局の建築が多くなっている。これらの時期に建てられた施設は今後、改修や建て替え等の集中が予想されるが、これに対し県の財政は県税収入の伸び悩みや義務的経費の拡大で歳出の硬直化が進み、これまで実施してきた30~40年周期での建て替え等が困難な状況にある。このため、改修、建て替え時期等の分散化などにより財政負担の平準化を図るとともに、従来の「スクラップ・アンド・ビルド」方式から「長期使用」への転換、県有施設の保有総数量の縮減などで対応することとし、その方向性を示すことになった。
長寿命化に向けた取り組みでは、①目標使用年数の導入②ライフサイクルコストを意識した改修及び新築③エネルギー使用量及び建設廃棄物発生量の抑制④施設保有総量の縮小-などを柱とし、建て替え、修繕及び維持管理費の抑制、年度ごとの施設改修費用等の平準化、温室効果ガス排出量の削減を図る。
目標使用年数については、目標となる使用年数を設定し、各部位の修繕や更新等を計画的かつ合理的に実施する。目標年数はRC造、SRC造、S造で65年と設定し、使用期間に応じた合理的な仕様の決定や各部位の改修及び更新等の適切な組み入れが可能となるようにする。また、長期間の使用に耐えられる部材の採用、LED照明等の省エネルギー機器の導入や太陽光発等の再生可能なエネルギーの活用等を検討し、ランニングコストの低減に取り組むほか、エネルギー使用量の抑制やESCO事業の導入可能性を検討。施設保有総量の縮小では、複数の県有施設の集約化の検討や市町村、NPO法人等との共同利用の視点も含めた検討も行う。
施設の維持管理面では、、施設を良好な状態に維持するために、社会性、安全性、機能性、環境保全性、経済性の5項目からなる性能水準を設定し、水準を確保する。また、性能水準を確保するために長寿命化設計基準を設定する。設計基準は、①可変性②更新性③高耐久性④維持管理⑤省エネルギー、省資源-の5項目を重点に設定する。
指針の運用にあたっては、施設の用途、行政需要の動向及び規模、構造等の視点を加えた選定基準を作成し、部局内で長寿命化施設を選定。選定された施設については、施設基本情報及び維持管理情報をシステム入力した「維持管理計画書」を作成し、これに基づき必要な時期に改修工事等を実施する。
なお、県有施設の状況は、建物棟数が2021棟で、総延べ面積は350万6570㎡。部局別内訳は、知事部局510棟・延べ85万4476㎡、教育庁1294棟・延べ231万1559㎡、警察本部217棟・延べ34万534㎡。建物の経過年数では30年以上が最も多く434棟で、25年以上339棟、35年以上305棟、40年以上287棟、20年以上218棟、15年以上154棟、45年以上127棟など。
経過年数では約1700棟、延べ床面積の8割以上を占める約280万㎡の施設が建築から20年以上を経過している。