UR都市機構千葉地域支社は25日、豊四季台団地(柏市)のサービス付き高齢者向け住宅等用地の土地賃借人募集で、学研ココファンホールディングス(東京都品川区西五反田2-11-8)を事業者に選定した。来月中旬に一般定期借地権設定契約(期間50年間)の基本協定を締結し、2012年冬頃に契約と土地の引き渡しを行う予定。なお、同ホールディングスは、高齢者向けサービスや子育て支援などを展開する学研ココファングループの持ち株会社。グループ内では学研ココファンが高齢者専用賃貸住宅の企画・開発や運営、指定介護保険事業を行っている。
豊四季台団地においては、柏市および東京大学、UR都市機構の3者が、URの豊四季台団地建て替え事業にあわせて09年6月に「柏市豊四季台地域高齢社会総合研究会」を設置し、長寿社会のまちづくりモデルの構築について検討を重ねており、先頃、同地域で展開する事業の全体像とスケジュールをまとめている。これを受けてUR千葉地域支社は、同団地内の約3500㎡の土地(柏市豊四季台一丁目807-1の一部および937-75の一部)について、8月に土地の賃借人募集を開始した。
対象となる土地は、豊四季台団地(コンフォール柏豊四季台)のほぼ中央に位置し、地域医療拠点(予定)や商業施設街区とともに豊四季台地域の拠点を形成する。募集用途はサービス付き高齢者向け住宅、訪問看護ステーション、小規模多機能型居宅介護事業所他。賃貸面積は3500.03㎡(実測)で、都市計画用途地域は第1種中高層住居専用地域(建ぺい率60%/容積率200%)。
なお、豊四季台地域高齢社会総合研究会がまとめた、同地域で展開する事業の概要は次の通り。
■地域包括ケアシステムの具現化
【在宅医療を推進するための具体的な取り組み】
▽在宅医療に対する負担を軽減するバックアップシステムの構築=①主治医の訪問診療を補完する訪問診療を行う診療所②病院の短期受け入れベッドの確保③24時間対応できる訪問看護・訪問介護の充実と多職種の連携
▽在宅医療を行う医師の増加および質の向上をはかるシステムの構築=在宅医療の研修プログラム(東京大学の事業)。※主治医の訪問診療を補完する訪問診療を行う診療所の医師を増やすためのプログラム
▽情報共有システムの構築(東京大学の事業)
▽市民への相談・啓発
▽中核拠点(地域医療拠点)の設置=在宅医療を推進するための政策を具現化するため、地域医療の拠点整備を行う。主な機能(スペース)としてコーディネート事務局(運営委員会事務局、手上げ照会・調整会議、情報システムの運営管理)、医療・多職種スペース(医師・多職種調整、医療機器貸与)、研修スペース(多職種と連携して実施)、市民相談・啓発スペース※13年度末に本格稼働
【超高齢社会における看護・介護と高齢者の住まい】
▽高齢者の住まいとして医療・看護・介護を一体的に提供するサービス付き高齢者向け住宅の整備を進める※13年度末本格稼働
▽24時間対応可能な訪問看護の体制整備をはかる
▽24時間訪問介護の整備を進めるとともに訪問看護との連携をはかる
▽併設サービス=①生活支援サービス②訪問看護ステーション③小規模多機能型居宅介護④24時間の訪問介護⑤在宅療養支援診療所(豊四季台地域の副主治医機能集中診療所)⑥地域包括支援サンター⑦放課後の子どもの居場所サービス。※②~④は介護保険制度改正後の新サービスの可能性も検討。また、居宅介護支援、認知症対応型共同生活介護の併設、障害者の住まいについても可能性を検討
▽時期=13年度中に運営開始予定
■高齢者の生きがい就労の創成
【高齢者の生きがい就労の全体像】
▽事業を統括する組合(高齢者を雇用)を組織し、4分野8事業(6~7事業者)で高齢者の生きがい就労を実現
▽農業分野=①休耕地を活用した農業②ミニ野菜工場(LED野菜工場で高齢者が気軽に葉野菜を栽培)※11年度試行稼働、14年度末本格稼働③屋上農園
▽生活支援分野=④家事の負担や外出時の悩みなどを高齢者が解決※11年度試行稼働、12年度当初本格稼働
▽育児分野=⑤放課後の子どもの居場所(高齢者が居場所を提供)※11年度試行稼働、13年度末本格稼働⑥子育て支援センター(サロンや子育て研修に高齢者の知識・経験を活用)※11年度稼働⑦出前講座(保育や教育の現場に高齢者の知識・経験を活用)※11年度稼働
▽地域の食分野=⑧地域の食の担い手(コミュニティレストラン)に高齢者を活用※14年度末稼働。