合流式下水道の改善で甲府市上下水道局は、住吉ポンプ場簡易処理施設の高度化を進める。年度内に既存設備を取り壊し新たに、ろ過方式の設備を建設。年度内に着工し2013年度完成を目指す。工事費は総額約14億2800万円を見込んでおり、12月補正予算で3カ年の継続費を設定した。財源に市単独費のほか国からの補助金(補助率2分の1)を充てる。
新たに建設する施設の全ろ過面積は126㎡。1つあたり15・75㎡の、ろ過池を8池、洗浄排水槽300立方m(仮定)を備える。ろ過速度は891m。1日あたり11万2320立方mの汚水処理ができる。設計は日本水工設計(山梨事務所・甲府市富士見1-22-11■055-255-6250)が担当しており9月までに完成した。
県内でも比較的早い時期に下水道が整備された市内中心部(約500h)では、雨水と汚水を同じ管で処理する「合流式」により下水を処理。住吉ポンプ場(甲府市住吉3-28-1)内で浄化して河川へ放水している。しかし豪雨などにより処理限界を超えた下水が未処理のまま放流され、それが原因の水域汚染が社会問題化。国は03年下水道施行令を改正し、全国170の中小都市については13年度までに改善措置をとることを義務付けた。
市水道局技術管理室によると、現在の処理は簡易的な沈殿方式で行い、その後薬品などを使い浄化させている。ただ豪雨などにより流水が多い場合は処理が間に合わず、そのまま放水せざるを得ないこともあるという。
新たに整備する設備はろ過方式で、全ての汚水が浄化設備を通ることになる。これにより排水の浄化レベルを指す「汚だく負荷量」を分流式と同等レベルまで下げることが見込める。同局では新設備により汚だく負荷量を現在の年128・8tから117・8t(8・5%減)に減らすことを目標としている。
新設備投入後も既存の沈殿設備は当面そのままにしておき、流水の多い場合などの貯留施設として活用する。
同局では年度内に既存設備の解体を終えると供に施設の躯体工事を発注。来年度以降、内部に入る機械・電気設備の発注を行う予定でいる。事業費の年割額は本年度1億1960万円、12年度約4億6610万円、13年度約8億4233万円。