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(一財)建設物価調査会

2004年6月・主要建設資材価格動向(東京)

2004/05/20 群馬建設新聞

 【総括】今月の調査結果をみると、10品目の建設資材の内訳は、4品目が前月比上伸し、6品目が前月比変わらずとなった。国内景気に回復の兆しがみられるなか、建設資材の動向は、需要面でいまひとつ盛り上がりに欠けるものとなっている。市況面では原材料、素材の高騰を理由にした資材値上げが目につくが、大半は需要の壁の前に立ち往生しているのが現状である。一方、10品目の市況見通しでは、強含み5品目、変わらず5品目、弱含み0となっており、動意づく資材品目が増える傾向もみられる。資材の動きを概観すると、上伸基調にあったH形鋼は原材料に鉄くず市況が軟化に転じたことを要因に、一服感がみられる。先行き、仕入れ価格の高騰や、建設需要に増加が見込まれることを背景に流通筋の売り腰が強く、目先、高値寄りに展開する公算が大きい。線材製品は前月比変わらず。5月1日から原材料高を理由に製品の大幅値上げを打ち出したことから、目先、強基調の見方が強い。レディーミクストコンクリートは3月までの駆け込みの反動で引き合いが閑散とし、価格に動意はない。値上げ交渉本格化は7月以降の状況。再生砕石のRC40~0は荷動き低調で需要に回復の兆しがみられないため、目先も、横ばい推移の公算が大きい。木材は競合品の価格上昇を支えに値上げをもくろむ流通筋もみられるが、需要家の購入姿勢が厳しいため、先行きも、横ばいで推移する公算が大きい。コンクリート型枠用合板は、輸入合板の入荷量減少から需給ひっ迫が一段と強まり、前月比上伸推移。先行き、商社・販売店の売り腰強く、強含み推移の公算が大きい。アスファルト混合物は新年度以降も値上げ交渉中だが、需要低迷や、供給過剰感から、交渉は難航の様相。目先も、横ばい推移の見通し。電線は原材料の電気銅価格の軟化で値上げの理由が薄れ、横ばいに転じた。ガス管は4月1日からの仕切り価格引き上げにより前月比上伸、メーカーは7月出荷分からの値上げを背景に一層売り腰を強めている。また、市中在庫の品薄から流通筋の売り腰が強いため、先行き、強含み。燃料油は元売り価格上昇を背景に特約店の売り腰が強まり、中間3品の中で軽油が上伸となった。灯油、重油は変わらず。目先、特約店筋は仕切り価格上昇分の全額転嫁を意図して売り腰を強めるため、強含みの気配濃い。

【H形鋼】~続伸し、目先も高値寄り~

200×100×5.5×8mmでトン当たり77、000円と、前月比同1、000円の続伸。市況の先高観を背景とした需要家の先行手配も一巡し、4月入り後の引き合いには一服感が見られる。しかし、市中の在庫は依然として低水準のまま推移しているため、引き続き需給のタイト感が漂っている。こうした中、流通筋は仕入れ価格の高騰や、建設需要に増加が見込まれることを背景として、強い販売姿勢を維持している。このため、目先の市況はなお高値寄りに展開する公算が大きい。

【線材製品】~価格横ばいも強基調推移~

なまし鉄線は4mmでトン当たり80、000円、鉄丸くぎのN100も同80、000円といずれも前月比変わらず。線材メーカーは、素材価格の高騰を受け、5月出荷分から同12、000~15、000円の大幅な値上げを表明している。一方、流通筋では、この製品値上げを即販価へ転嫁したい意向であるが、値上げ幅が大きいことから需要家の強い抵抗が予想される。先行き需要の好転は見込めないものの、線材供給量が絞られ、市中での線材製品の品薄感が強まっており、目先、強基調で推移するとの見方が強い。

【レディーミクストコンクリート】~価格に動意なし~

3月の出荷量(東京地区生コンクリート協組調べ)は約47万4千立方mと前年同月比9.9%の増加。主原材料骨材価格が排ガス規制に伴い、強含みで推移していることに加えセメントメーカーからの普通ポルト(バラ)と高炉セメント(同)の値差撤廃要求、更に普通ポルト(同)の値上げ打ち出し等生コンメーカーを取り巻く環境は厳しい。一方、新年度入り後の引き合いは、3月までの駆け込みの反動で閑散としており、価格に動意はない。流通筋では、値上げ交渉が本格化するのは7月以降とみている。

【再生砕石】~荷動き振るわず、横ばい推移~

RC40~0で立方m当たり1、600円と前月比変わらず。新年度入り後、荷動きは低調で需要に回復の兆しがみられない。メーカーは排ガス規制の影響から輸送コストが上昇しているため、製品価格転嫁の意向が強い。しかし、需要に盛り上がりがないなか、製品在庫が高水準となっているプラントが多く、値上げは難しい状況。現状、ダンプ車輌減少による輸送面のひっ迫感もなく、また需給面に大きな変化はないことから、目先、横ばい推移の公算が大きい。

【木材】~先行き横ばい~

杉正角(特1等3m×10.5×10.5cm)で立方m当たり41、000円と前月比変わらず。4月に入り、官・民ともにめぼしい物件が見当たらず、需要の盛り上がりは感じられない。こうした状況下、需要家は小口当用買いに徹し、様子見姿勢を強めているが、流通筋も仕入れ量を調整しているため、需給は均衡している。競合品である米つが材、集成材の値上がりに連動して杉材の値上げをもくろむ流通筋もあるが、需要家の購入姿勢は依然として厳しいため、先行きも、横ばいで推移する公算が大きい。

【コンクリート型枠用合板】~続伸後、なお強含みで推移~

JAS・輸入品・12×900×1800mmで枚当たり890円と前月比20円の上伸。主要供給国のインドネシアでは、工場の原木確保が難しいことから現地価格が続伸しており、商社の成約は進んでいない。このため、輸入合板の入荷量が更に減少し、需給のタイト感は一段と強まっている。また、今後についても原木伐採規制が緩和される見通しがないため、入荷量の回復が見込めない状況にあることから、商社及び販売店の売り腰は強い。先行き、価格は、引き続き強含みで推移する公算が大きい。

【アスファルト混合物】~先行き、横ばい推移~

16年3年の出荷量(東京アスファルト合材協会調べ)は約75万トンと前年同月比7.2%の減少。昨年度以降、メーカー各社は、排ガス規制を理由に値上げの意向を示しており、新年度入り後も、改めて需要家との交渉に臨んでいる。しかし、需要の低迷、供給過剰感から各社の値上げ圧力は弱く、価格は密粒度13でトン当たり6、800円と横ばいで推移している。市中では、先行き需要の不透明感が強く、値上げ交渉はなお難航が予想される。先行き、横ばい推移の公算が大きい。

【電線】~市況横ばいに転じる~

電線類の出荷は、官・民共に工事量が減少している影響で低迷している。一方、昨年末から高騰を続けていた国内電気銅建値は5月上旬現在、トン当たり36万円で、前月比1万円の下落となった。主要原材料である銅価格の上昇を理由に、強含みで推移してきた電線市況は、販売側が値上げ交渉の材料を失ったことを背景に、横ばいに転じた。先行き、銅価格はLMEでも軟調に推移しており、国内電気銅建値の反発も見込みが薄いため、電線価格は横ばいで推移する公算が大きい。

【ガス管】~上伸し、なお強含み推移~

白ねじ付き管50Aで本当たり2、590円と前月比170円の上伸となった。これは、メーカーが4月出荷分から実施した仕切り価格の引上げを、流通筋が販売価格に転嫁したことによるものである。荷動きは依然として低調であるが、市中在庫の品薄感が強いことから、流通筋の売り腰も強い。また、原料価格の高騰から、メーカーの一部は7月出荷分から値上げを打ち出している。供給側の販売姿勢は引き続き強く、先行き、価格は強含み推移の公算が大きい。

【燃料油】~値上げが一部浸透し、続伸~

4月の海外原油価格(ドバイ)は、バーレル当たり31.7ドルと高値を維持している。中間3品は、4月の元売り仕切り価格の大幅引き上げを背景に、特約店筋が販売価格への転嫁を目指して売り腰を強めた。このため、値上げが一部浸透し、軽油のローリー渡しで前月比リットル当たり1円上伸。一方、灯油とA重油は、需要の減少や需要家側の反発により、前月比変わらず。目先、特約店筋は仕切り価格上昇分の全額転嫁を意図して、販売姿勢を強めることが予想されるため、強含み推移の公算大。



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