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千葉県八千代市

水管理センターや高津浄水場移転/八千代市水道2次長期計画 概算事業費294億4300万円見込む

2012/02/02 日刊建設タイムズ

 八千代市は、2012年度から26年度までの15年間を計画期間とする水道事業第2次長期基本計画の策定を進めているが、1日、素案を公表した。施設整備の面では、村上第1汚水中継ポンプ場跡地を建設候補地とした(仮称)水管理センターの設置や、高津浄水場の移転、水道施設の耐震化・老朽化対策等を推進するとしている。同素案については、パブリックコメントの手続きに基づき、3月1日まで上下水道局維持管理課で意見を受け付ける。

 同市水道事業は65年3月に創設事業認可を受け、67年4月に給水を開始。89年に現行の水道事業長期基本計画を策定し、現在に至っており、今年度で事業期間が終了する。こうした中で、昨年3月に発生した東日本大震災により、水道施設の震災対策の重要性が再認識され、同市の水道事業においても水道施設の耐震化、老朽化した施設の更新・維持補修など震災対策の充実や、アセットマネジメントの実践による事業経営の健全化などの課題が顕著になったとして、第2次長期基本計画においては、遠方制御による中央集中化施設となる(仮称)水管理センターの新設や、老朽化した施設の耐震化などを進めるとしている。

 施設整備に要する概算事業費は294億4300万円余り(本工事費271億9638万円、用地および補償費6億円、調査費9億6900万円、事務費6億6800万円)で、(仮称)水管理センターに10億7400万円、取水施設拡張工事に3800万円、取水施設改良工事に10億700万円、浄水施設改良工事に10億4500万円、配水施設改良工事に68億7100万円、石綿セメント管布設替えに115億1957万円、老朽管布設替えに53億381万円を投入する計画。

 (仮称)水管理センターは、村上第1汚水中継ポンプ場跡地を建設候補地として、村上給水場の老朽化施設更新を踏まえ検討する。また、高津浄水場は、配水池の増設を兼ねた耐震化対策が必要で、現在の浄水場敷地内での対応が困難なことから、施設の移転を前提に改修計画を策定する。

 目標年度における計画給水人口は21万8000人、給水普及率99.5%、計画1日平均給水量は6万1970立方メートル、計画1日最大給水量は7万500立方メートル、負荷率87.9%で、水源計画は自己水源3万8300立方メートル、受水量3万2200立方メートル。

 なお、八千代市水道事業第2次長期基本計画(素案)の基本的な施策目標は次の通り。

 ■水道の運営基盤の向上

 【地下水源の安定確保】

 ▽適正揚水量の把握=揚水試験の結果から、適正揚水量は1000立方メートル/日・井を上限とし、既存の各井戸についての計画取水量として既存深井戸の長寿命化をはかる

 ▽需要予測に基づく取水計画の策定=地下水源については、現状で最大取水量が1000立方メートルを超える既存井戸について、取水ポンプの更新時に計画取水量を1000立方メートル/日・井を上限とし、全井戸(33井)での計画地下水揚水量を直近の許可取水量4万立方メートル/日から3万920立方メートル/日(約77%)に地下水揚水量の軽減をはかる。受水量については、北千葉広域水道企業団との協定水量を15年度まで2万8900立方メートル/日、16年度以降は3万2200立方メートル/日として水源計画を策定する。水需要に対して不足する水源水量は、北千葉広域水道企業団からの受水量の増量および地下水源開発が可能な睦浄水場系に取水井を増設して必要な水源を確保する

 ▽取水施設の更新=機能診断結果より、法定耐用年数を超えて老朽化した各浄水場系取水井施設の補修および電気機器設備の計画的な更新をはかる

 【効果的な施設整備】

 ▽改良計画推進事業=米本浄水場施設改良事業、西八千代配水管および送水管布設事業、給水区域の拡大事業により安定給水の向上をはかる。米本浄水場施設改良事業を実施するにあたっては、配水ポンプの直送化と余剰水量の有効活用を考慮した計画を策定する

 ▽(仮称)水管理センター整備計画策定=現在7か所ある既存の浄水・給水場での遠方監視制御は、睦浄水場と村上浄水場間のみ。このため、施設監視体制の充実・強化、災害に強い水道システムの構築による安定給水を目的に、村上第1汚水中継ポンプ場跡地を建設候補地として、村上給水場の老朽化施設更新を踏まえ、(仮称)水管理センターによる遠方監視制御の中央集中化施設整備計画を策定して事業を推進

 ▽需要予測に基づく管網整備計画策定=現状で施設能力を超えた給水量になっている高津浄水場系の分担給水エリア(八千代緑が丘周辺の新市街地開発による需要量増)について、管網水理解析により分担給水エリア再編と配水管網の見直しをはかる

 ▽給水拠点の再整備計画の策定=高津浄水場系の分担給水エリア再編計画に併せて、不足している配水池貯留必要量の確保について施設整備計画を策定する。村上給水場の現状配水方式(高層用、低層用配水ポンプの2系統で給水)について、より効果的な1系統配水方式による更新・改良計画を策定し、維持管理面の改善をはかる

 【計画的な更新事業】

 ▽改良計画事業推進=米本浄水場施設改良事業の実施により持続可能な運営基盤を確立する

 ▽更新計画の策定に基づいた事業推進=中長期的(11~26年度)な財政収支に基づいた改良・更新計画を策定する。取水施設:萱田、八千代台、勝田台、米本、高津、睦の各浄水場。配水施設:萱田、八千代台、高津浄水場、村上給水場。石綿セメント管と非耐震の経年管を主体として、管路の耐震化を兼ねた長期的な更新計画を策定し、計画に基づいた事業推進をはかる

 ■災害・環境対策の強化

 【水道施設の耐震化】

 ▽水道施設耐震化計画の策定

 ▽基幹施設の耐震化対策=高津浄水場(配水池容量の増設、更新を兼ねた耐震化対策が必要で、現在の敷地内での対応は困難なことから、施設を移転した場合の全面改修計画を策定)、村上浄水場3号配水池(耐震診断の結果で耐震化計画を策定)、八千代台浄水場着水井・ろ過ポンプ井・排水調整池(同)、勝田台浄水場ろ過ポンプ井・排水調整池(同)、米本浄水場ろ過ポンプ井・排水調整池、八千代台浄水場第2配水場ポンプ棟(同)

 ▽基幹管路(導・送水管)の耐震化対策=導水管のうち石綿セメント管は全路線延長3095.7mの更新を兼ねた耐管への化布設替えを実施、導水管のうちダクタイル鋳鉄管は非耐震管1万265.1mの更新を兼ねた耐震管への布設替えを実施。送水管はダクタイル鋳鉄管の非耐震管1万8824.4mの更新を兼ねた耐震管への布設替えを実施

 ▽配水管路の更新を兼ねた耐震化対策=石綿セメント管は全路線延長10万8469.8mの更新を兼ねた耐震管への布設替えを実施。硬質塩化ビニル管は全路線延長1万5834.4mの更新を兼ねた耐震管への布設替えを実施。耐衝撃性硬質塩化ビニル管は全路線延長4356.7mの更新を兼ねた耐震管への布設替えを実施。ダクタイル鋳鉄管は非耐震管46万6016.4mの更新を兼ねた耐震管への布設替えを実施

 ▽緊急時対策の推進=緊急用貯水槽整備事業、水道施設耐震化計画に基づく施設の耐震化事業、災害時対応マニュアルの整備(06年度に策定したマニュアルの修正と見直し)等。

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