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長野県中野市

応札価格反映し変動/最低価格の算出基準改定

2012/02/14 長野建設新聞

 中野市は、最低制限価格の算出基準を応札価格に連動して設定する形に改める。より地域の実情に応じた市場価格を反映することがねらい。財政課の試算によると平均落札率は建設工事で若干下降、委託業務で若干上昇する見込み。

 本案は13日の入札制度改正に関する企業向け説明会で明らかにされた。現在、工事の算出基準は昨年4月改正の中央公契連モデルを準用。直接工事費の95%、共通仮設費の90%、現場管理費の80%、一般管理費の30%―の合計額とし、この額が予定価格の90%を超える場合は90%相当額、70%未満の場合は70%相当額としている。業務は予定価格の70%相当額。

 改正案では工事、業務とも予定価格を下回る入札価格者のうち、下位6割(小数点以下切り上げ)の者の入札価格の平均額(千円未満切り下げ)に0.9を乗じた額を最低制限価格として設定する。

 本年度1月末現在における最低制限価格制度対象案件(工事は予定価格50万円以上、業務は同30万円以上)の平均落札率は工事90.7%、業務76.9%。財政課によると、新基準に当てはめた場合、工事は1.5ポイント下がり89.3%、業務は2.8ポイント上がり79.8%となる。

 また、算出基準の改定に併せて同制度の適用案件基準も変更。対象は事後審査型一般競争入札または指名競争入札で発注する建設工事と建設コンサルタントとし、予定価格による基準は設けない。ただし、建設工事等業者選定委員会が認めた場合はこの限りではない。

 最低制限価格を下回る入札価格者は失格となり、2回目の入札が必要となった場合も参加できない。


■事後審査型 業務にも適用

 また、現在一定規模以上の工事に限り運用している事後審査型一般競争入札は適用範囲を拡大。対象とする金額基準を大幅に引き下げるとともに、業務と物品契約にも適用する。

 現行の適用範囲は土木800万円以上(予定価格。以下同じ)、建築900万円以上、電気・電気通信600万円以上、その他700万円以上。改正後は、工事については工種を問わず100万円以上、委託業務は50万円以上、物品購入は80万円以上、物品借入は40万円以上とする。

 これにより大半の入札は事後審査型となる見込みで、競争性を確保する観点から入札参加申請者が3者に満たない場合は入札を不成立とする。

 工事の地域要件は現行どおり「市内に本社を有する者」、業務と物品は「市内に本社または営業所等を有する者」とするが、入札が不成立や不調となった場合は拡大することもある。

 入札の成立に参加者数の条件を設けたことに併せ、参加申請後、意思表示をせず棄権した場合の罰則規定も設定。同一年度内に3回棄権した場合、3回目に棄権をした翌日から3カ月間は入札参加を認めない。なお、辞退届を提出した場合は棄権と扱わない。

 このほか中央建設業審議会による公共工事標準請負契約約款の改正を踏まえ、現場代理人の常駐義務を緩和。契約金額500万円未満の案件について1人2件まで重複を認める。

 いずれの改正も本年4月1日以降に公告または指名通知する案件から適用する。

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