県防災危機管理監は、休館中の中央防災センターに代わる新たな防災拠点として、消防学校と防災センターの機能を併せ持つ「総合防災拠点」を一体的に整備する。県の新年度予算に基本設計費3000万円を計上。新年度で設置場所を決め、基本設計を行う。設置場所については、新年度早々に検討委員会を立ち上げ、用地の選定に入り、上半期内には候補地を固める。事業スケジュールは、今年度で基本設計を実施し、2013年度で実施設計を行い、14年度に着工、14~16年度の3か年で工事を行い、16年度中の供用開始を目指す。
同拠点については、昨年7月に「防災拠点のあり方検討会」(委員長・安藤正雄・千葉大学大学院工学研究科教授、委員10人)を設置し、整備の必要性や基本的な機能、立地条件、規模等について検討を進め、今月2日に開催した第2回検討会でこれまでの検討結果をまとめ、県に報告書を提出した。
同拠点は、平時には消防職団員への教育訓練、県民や企業、自主防災組織等への防災教育などを行い、災害時には自衛隊や消防などの活動拠点、救援物資の集配拠点とする。このため設置場所としては、消防学校の利用者や研修施設の利用者の利便性を考慮し、「県中央部」が望ましいとの考えが示された。また、災害発生時には多数の車両が集結することから緊急輸送道路に近接し、陸・海・空路の複数の交通ネットワークが確保でき、ヘリコプターの離着陸が可能なスペースが確保できること-などが挙げられた。
拠点を構成する主な施設は、各種火災、救助を想定した訓練を行う「総合訓練棟」、災害時の活動拠点となる「管理・宿泊棟」(講堂、教室及び宿泊、食堂、浴室)、「屋内訓練場」(体育館、雨天や夜間時の訓練場)、「防災センター」(広報啓発、展示等のための施設)、「ヘリポート」、災害時の活動拠点や物資の集配拠点となる「野外訓練場」(救助訓練、操法大会)、「備蓄倉庫」などを予定。
報告書では、これらの整備に必要な施設規模として、「総合訓練棟」が地下1階地上2階建て延べ6000㎡(敷地面積2000㎡)、「管理・宿泊棟」が5階建て延べ1万㎡(同2000㎡)、「屋内訓練場」が延べ2000㎡(同2000㎡)、「防災センター」が延べ2400㎡(同1200㎡)、「ヘリポート」が7500㎡、「野外訓練場」が2万2500㎡と設定した。
このほかでは、水難救助訓練施設2000㎡、補助訓練棟300㎡、倒壊建物・がれき訓練施設200㎡、車両製造訓練コース300㎡、水防訓練施設300㎡、防災用備蓄倉庫600㎡、車庫・倉庫棟1300㎡など。これらの整備に必要となる敷地面積は約10haを想定する。
既存の消防学校と中央防災センターは、防災拠点整備後に解体撤去される予定。中央防災センターは、開所後20年以上を経過し、展示施設等が老朽化したため、現在は休館している。
消防学校は1961年4月に千葉市神明町地先の埋め立て地(現問屋町)に設置され、1971年5月から千葉市中央区仁戸名町の現在地に移転した。建物は、本館、寄宿舎(若竹寮)、新寄宿舎(新寮)、屋内訓練場、耐火訓練塔、水難救助用プールなどで構成し、延べ面積は7283.25㎡。敷地面積は3万9014.97㎡。
一方、中央防災センターは、県民の防災に関する知識を深め、意識の向上を図ることを目的に、1985年4月に中央区仁戸名町666-2地先に開設された。建物規模はRC造平屋建て延べ1453.15㎡。敷地面積は1万2415㎡。