長岡市内に新たな名所が誕生する。「道の駅R290とちお」から魚沼市方面へ約1㎞、今月30日にオープンする、越後とちお温泉『おいらこの湯』だ。
2005年に湧出した54℃の良質なナトリウム塩化物温泉。豊富な湯量を利用しての施設整備の要望が、地元の栃尾地域委員会等を通してようやく実を結んだ。
全国からの公募393件から選ばれた施設の名称『おいらこ』は、みんな・私たちという意味の地元の方言。その言葉通りの家庭的な雰囲気をモットーとする温泉として、このほど赤谷地内に完成した。
施設整備のコンセプトは、「高齢者から子どもまで、世代を超えて触れ合える」こと。「長岡市高齢者センターとちお」の整備を進めてきた同市福祉保健部福祉総務課が10年度の基本・実施設計を経て、11年度から建設に着手してきた。
施設規模は、W造一部RC造2階建て延床面積768・94㎡(1階291・86㎡、2階477・08㎡)。敷地面積2725・74㎡で、1階に多目的ホール、家族風呂、8畳の和室、2階に8人程度が同時に入れる浴槽や、温泉禁忌症の利用者に配慮した白湯浴槽を備えた大浴場、64畳の大広間を備える。駐車場は35台分を整備。1日の最大利用者数は100人程度を見込む。
落ち着いた印象の黒い外観は、市が取り組む長岡産の杉材を積極的に取り入れた木造施設整備の方針を重視したもの。環境対策では雨水以外の温泉水等の排水を河川放流せず、下水道へ放流するほか、温泉熱を冬期の屋根融雪に利用する。
さらに、エレベーターやバリアフリー等、高齢者の利用を意識した造りは勿論、浴室を2階に配置することで、守門岳の眺望と刈谷田川のせせらぎを楽しみながらの入浴を可能にした。施設の外には無料の足湯も設置され、源泉100%の弱黄褐色のお湯から湯けむりが立ち上る一角は、地域の新たなスポットになりそうだ。
オープン当日には、地元の東町御神楽の獅子舞披露等の記念セレモニーが予定されている。
同施設の工事費は3億8659万円。
基本・実施設計は長岡市建築設計協同組合、建築工事は池田組・松井組JV、電気設備工事は遠藤電気、機械設備工事は長岡総合設備、揚湯設備工事はNNCエンジニアリング、外構工事は共榮建設が担当した。
【写真=外観は落ち着いた印象。施設脇には源泉がある】