大規模な地震対策を背景に、茨城港や鹿島港の3カ所で岸壁の耐震化が本年度から進められる。大震災で耐震性が実証された茨城港常陸那珂港区の-9m岸壁に続いて、新設-12m耐震岸壁の調査設計が国により同港区で行われるほか、日立港区でも-10mの既設岸壁で耐震化工事を第2四半期に2工区分離で発注予定。鹿島港でも国により既設-14mの耐震化工事が2工区分離で進められている。
耐震強化岸壁は、大規模地震などの被災時にあっても応急復旧により緊急物資が輸送できるよう、早期機能の回復を視野に計画。
県内では、2006年に茨城港常陸那珂港区の中央埠頭で-7・5m岸壁が耐震化され、大震災でもその機能を発揮。緊急物資の輸送回復に役立った。
これに続いて、同港区内では-12mの耐震強化岸壁を国が本年度から着手する。場所は中央埠頭内の既設強化岸壁の近く。全体延長270mを5カ年かけて整備する予定で、本年度は土質調査と岸壁の構造設計を出先機関である鹿島港湾・空港整備事務所が発注。
この土質調査は5月16日開札をめどに入札を公告中で、この調査を踏まえ岸壁の構造設計を発注したい考えだ。そのため工法の選定もこれから。土質調査と岸壁の構造設計を合わせた予算額は1億1000万円で、うち県が4950万円を負担。日立の東防波堤工事と合わせ、初段工事に向けた追加予算の優先順位も検討している。
日立港区では、震災で被災した第4埠頭の-10m岸壁Dで、耐震化工事を2工区に分けて行う。いずれも第2四半期に一般競争入札を公告予定。工期は9カ月。災害復旧工事に合わせて背後土圧の軽減を図る工事を行い、耐震機能を強化する。
その全体延長は185m。このうち「その1工事」が90mで地盤改良工、上部工、エプロン舗装(3750㎡)などを行う。「その2工事」は残り95mで同じく地盤改良工、上部工、エプロン舗装(1530㎡)などを予定。
鹿島港でも、外港地区の既設-14m岸壁で耐震化工事が発注された。既設延長560mのうち、280mが対象。当初は別の箇所を耐震化する予定だったが、震災を踏まえ振り替えて耐震化することとなった。
この工事は延長280mをほぼ半分ずつ発注。若築建設㈱(東京都)でことし2月29日から着工したほか、もう一方を4月13日からりんかい日産建設㈱(東京都)で着工している。昨年の3次補正を充てながら、本年度中の工事完了を目指す。