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カジノ導入調査は中低層、高層の2案/ナリタ活用戦略会議に報告 経済波及効果は5年間で1兆円以上

2012/05/22 日刊建設タイムズ

 今月15日に開かれた第3回グレードアップ「ナリタ」活用戦略会議(座長・森田健作千葉県知事)で、成田空港周辺での「カジノ・MICE機能を含む複合施設の導入検討調査」の結果が報告された。報告書は、空港の隣接地に中低層の複合施設(IR)を整備するA案と空港周辺に大規模な高層の複合施設(IR)を整備するB案の2案が提示された。A案は年間来訪者を173万人回、県への経済波及効果を5年間で1兆1000億円と推計し、B案は年間来訪者を243万人回、経済波及効果を1兆5000億円と推計している。カジノは2案とも約1万5000㎡を想定。

 A案はコンセプトを「日本文化体験型・ゲートウェイIR」とし、空港に隣接する敷地約20haに概算建設費2000億円(用地費除く)で延べ30万㎡の中規模な施設を整備する。B案は「大規模複合型・国際標準IR」をコンセプトに、空港周辺の敷地30~40haに概算建設費3600億円で延べ50~60万㎡の高層施設を整備する。

 またA案は、アジアや国内首都圏を中心にした富裕層をターゲットとし、和のリゾート空間を想定。建設場所は、アクセス環境を最優先し空港の隣接とした。敷地が空港に隣接することから、航空法による高さ制限を受けるが、国際会議場など限られた機能を優先的に整備し、その他の機能を小~中規模施設とすることでこれをクリアする。施設は小規模展示場、和の宿泊施設、和文化シアター(歌舞伎等の講演)などで構成。また、県内のほかの施設との連携を図るため、バスターミナルを設置する。

 一方、B案は全世界のビジネスパーソンや国内富裕層をターゲットとし、成田空港から距離をとることで、高さ制限を受けない国際標準的な大規模一体型の複合施設を想定。施設は大規模展示場、高層ホテル、アミューズメントパーク、レストラン・ショッピングモールなどで構成する。

 同調査は昨年度、三菱総合研究所(東京都千代田区永田町2-10-3)に約1500万円で委託。カジノを誘致した場合の市場性、施設機能、経済波及効果、賭博など懸念事項などの検討を行い、同社が報告書としてまとめた。

 以下、2案の施設構成案は次の通り。

 【^nA案】

 ▽コンセプト=日本文化体験型・ゲートウェイIR。

 ▽強み=日本文化(歌舞伎、温泉)、空港隣接。

 ▽主なターゲット=アジア(主に華人)富裕層、国内富裕層(首都圏中心)。

 ▽機能構成=①カジノ(1万5000㎡)②会議施設、展示施設:会議施設、小規模展示場・バンケットルーム③宿泊機能:和の宿泊施設(200~300室程度)④アミューズメント、商業機能:和文化シアター(歌舞伎等の公演)、和の体験ミュージアム、高級スペシャリティモール⑤備考:バスターミナル設置で県内他施設と連携。

 ▽立地=空港隣接・中低層建築、敷地20ha、延べ床30万㎡。

 ▽概算建設費=2000億円(用地費除く)。

 【B案】

 ▽コンセプト=大規模複合型・国際標準IR。

 ▽強み=サービスクオリティ、学研都市・研究開発拠点との連携。

 ▽主なターゲット=全世界ビジネスパーソン、国内富裕層(全国主要都市)。

 ▽機能構成=①カジノ(1万5000㎡)②大規模展示場・大規模バンケット③宿泊機能:高層ホテル④アミューズメント、商業機能:エンターテイメント・ショー、アミューズメント・パーク、レストラン・ショッピングモール⑤備考:全ての機能を大規模施設で想定(諸外国の大規模IRを参考)。

 ▽立地=空港周辺・高層建築、敷地50ha、延べ床50~60万㎡。

 ▽概算建設費=3000億円(除く用地費)。

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