長野県地中熱利用促進協議会(会長・高橋作夫=サクセン)は24日、2012年度の総会および研修会を松本市内で開催した。研修会に先立つあいさつで高橋会長=写真は、「自然エネルギーの期待が膨らむなか、化石エネルギーを使わないクリーンなエネルギーの活躍の場は広がっている」と述べ、一般や行政に対して普及を進めていく考えを示した。
地中熱は、地下10~15mでは地温が年間一定であることに着目し、ヒートポンプによる温度差エネルギーを利用するもの。場所を限定しないうえ、天候にも左右されず、安定的に利用できるなどのメリットが挙げられている。
総会では、11年度事業報告・収支報告、12年度の事業計画案・予算案を承認。一般も含めておよそ40人が参加した研修会は、県温暖対策課の春日一幸係長をはじめ、NPO法人地中熱利用促進協議会副理事長でジオシステム㈱代表の高杉真司氏、サンポット㈱信越営業所長の上中益満氏が講師を務めての講演が行われた。
このうち、春日係長は“自然エネルギー信州ネット”などの県の取り組みを紹介。また高杉氏は、初期コストや認知度、国・地方自治体の政策など普及にあたっての課題を取り上げる一方で、話題の東京スカイツリーや住宅・店舗の実施例を披露。4年目を迎える「一番町笹田ビル」の事例では、年間平均で49%の省エネを実現したと報告した。同ビルの場合は、車2台分のスペースの地下部分に、浸透枡と地中熱交換井が設置されている。
同協議会は昨年の7月26日に発足。法人会員に限らず個人にも門戸を開放しており、現在14会員で構成。「自然エネルギーでは太陽光が先行しているが、研修会や見学会などを開いて、地中熱の普及に努めていきたい」と高橋会長は話していた。
【写真:震災後に作成された“地中熱利用コミュニティ構想”