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県と日立LNG基地の土地契約/7月下旬から子会社元請けで着工/東京ガス㈱

2012/06/20 日本工業経済新聞(茨城版)

 東京ガス㈱(東京都港区、岡本毅社長)は、2015年度の稼働を目指す「日立LNG基地」(茨城港日立港区内、日立市)の計画で、建設予定地に関する売買契約を土地所有者の県と締結した。今後、土地の諸手続きを進めながら、7月下旬から同基地の建設工事に着手する予定だ。基地構内の全体施工は同社の100%子会社である東京ガスエンジニアリング㈱。その下で、大成建設㈱や清水建設㈱、千代田化工建設㈱、川崎重工業㈱などが各種施工する。浚渫などの海洋土木業者はこれから選定する。また、同基地から栃木県真岡市まで延長80㎞強を高圧管パイプラインで結ぶ「茨城~栃木幹線」は、栃木側から日鉄パイプライン㈱で着工。茨城側は住友金属工業㈱やJFEホールディングス㈱の関連企業で工区ごとに施工予定だ。そのほか工事によって各社が地元業者への下請発注を見込む。設備投資額は幹線を含め約1200億円(基地約800億円、幹線約400億円)。

 東京ガスは、中期経営計画(2009~13年度)に基づき、日立港区内に「日立LNG基地」を建設し、同基地と栃木県真岡市にある既存のパイプラインを接続する「茨城~栃木幹線」(日立市~栃木県真岡市)を15年度までに敷設する計画を進めている。

 また、昨年11月に策定した「チャレンジ2020ビジョン」で、この計画を2020年に向けた天然ガスの需要増加に対応する製造・供給インフラの柱の一つとするほか、東京湾内の既存3基地と日立LNG基地を連携することで、供給インフラ全体の安定性の向上を図りたい考え。

 昨年12月に日立港区の港湾計画の変更が県報告示され、日立港区第5埠頭地区にLNG基地が位置づけられるとともに、ことし3月には県が同基地の建設予定地の購入者を公募。東京ガスはこれに応募し、6月15日の県議会で売買契約が承認された。

 日立LNG基地には、地上式のLNGタンク1基(23万kl)やLPGタンク1基(5万kl)、製造施設(LNG気化設備)3基を設置するほか、ローリー出荷施設、大型桟橋(外航LNG船用受入設備)を整備する予定。

 まず基地構内の全体を、東京ガスエンジニアリングが一括して受注。その下で、構内の設備基礎工事を大成建設、準備工を含めたタンクの土木工事を清水建設、プラント関連を千代田化工建設、タンクの機械設備工事を川崎重工がそれぞれ担当する。

 これらの本格的な施工は11月ごろから。工事によって各社が地元業者へ下請けを発注するという。

 そのほか、必要な水深まで掘り下げる浚渫工事といった、海洋土木工事も予定しているが、業者選定はこれからという。

 一方、同基地から栃木県真岡市まで延長80㎞強を高圧管のパイプラインで結ぶ「茨城~栃木幹線」は、栃木側から、日鉄パイプラインでことし1月に着工。現在の進捗は全体の約3%で延長2㎞半程度。今後は茨城側から、住友金属やJFE関連の企業で工区ごとに施工を予定。ルートは、おおむね常磐自動車道の側道を想定しているという。

 なお、7月7日、8日には地元3カ所で説明会を予定している。

 今月19日に橋本昌知事を訪れた岡本社長は「この土地はプロジェクトの重要な場所。これで建設に着手できる」とお礼の言葉を述べ、橋本知事は「われわれとしても支援していきたい」と述べた。


【写真=日立LNG基地の完成予想図】

日立LNG基地の完成予想図013271.jpg

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