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山梨県甲州市

地下階は「1階床鉄骨補強」/宮光園白蔵の補強方法

2012/07/13 山梨建設新聞

 甲州市は、2012年度第1回目の宮光園保存活用検討委員会をこのほど開き、白蔵の設計について審議。地下階石室の補強方法は、既存建物への影響や可逆性、施工性、コストなどから「1階床鉄骨補強」とした。仮に同補強が適さない場合は「RC柱補強」となりそう。9月末までに設計を仕上げ、年内に白蔵修復工事を実施し、12月議会で承認が得られれば、年明けにも工事着手する。特殊な技術を要することから、「JVによる一般競争」が有力。事業費は、本年度当初予算に2億2700万円の継続費を設定した。

 1階鉄骨補強は、既存の石積み壁が現状で充分な体力を保持している場合、作用する地震力を適切に耐力要素へ伝達するため、1階床面に鉄骨ブレースを設置し剛な床を形成する。またRC柱補強は、石積み壁際にRC柱を4m前後で建てて、既存臥梁レベルに梁、新設床下に基礎梁を設置し、このRCフレームに面外方向に作用する力を負担させる。

 地下には2m超の横向き(3個)の歴史ある巨大樽が配置しているため、石室の強度を調べることが出来ないという。上屋を解体しないと取り出すことも出来ない。

 一方地上階については検討委員会で補強方法はまとまらなかったが、「壁の増設(不足する耐力分)」「土葺きの撤去(建物の荷重軽減)」「方杖フレーム(不足耐力分を補う)」「鉄骨フレーム(方杖フレームを置き換える)」「免震(地下階と地上階間に免震層を設ける)」などが挙がった。

 白蔵は、使用できる柱などを残して解体し、その後に土壁を塗り替える修復作業を行う。同蔵は、地上一部2階地下1階で延べ384・67㎡の規模-。道具蔵が地上2階建て延べ39・74㎡、文庫蔵が地上3階建て延べ103・28㎡。

甲州市は社会資本整備総合交付金を活用して昨年度から4カ年で、近代産業遺産整備事業(第2期計画)を実施。2期計画(2011~14年度)のうち本年度は、「白蔵修復工事及び離れ座敷」を始め、「道具蔵」、「文庫蔵の構造積算業務」、「消火栓設置」などを進める。

 実施設計は、アルケドアティス(同市塩山上於曽269-2・0553-33-7739)が担当した。

老朽化が進む白蔵(右)002412.JPG

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