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太陽光、小水力促進/エネルギーの地産地消へ

2012/07/21 山梨建設新聞

 太陽光発電や小水力発電などクリーンエネルーギーの地産地消を目指した取り組みについて協議、実施していく県庁内の組織が今月設立された。県環境創造課や産業支援課、企業局電気課などが集まりそれぞれが行う事業の目的や内容について協議。情報を共有し、一体となって事業を進めていく。

 中でもハード・ソフト両面で大きな役割を担うのが企業局電気課だ。かねてから小水力発電のモデル設備の設置を進め、得たノウハウを参入業者に提供。また甲府市の米倉山に整備したメガソーラー発電設備やPR施設を活用し、クリーンエネルギーの普及促進に向けた取り組みを計画している。

 電気課の取り組みのうちハード事業では、▽安価な小型水力発電機の開発▽大城川砂防を利用した小水力発電所の設置▽超電導による電力貯蔵技術の実用化に向けた実験用太陽光発電所の整備-が挙げられる。

 このうち安価な小型水力発電機の開発については、1台あたり数千万円から数億円かかる発電機の設置費を下げるため、よりコンパクトで低価格な発電機を開発するというもの。参入のネックとなる価格を下げることで普及促進につなげたい考えだ。

 同課では今後基本的な規格や内容について話し合いを進め、本年度中に業者に設計を委託する。本年度予算には設計費を含めた普及促進費として2000万円を確保した。来年度には製作に入り完成後は製作にあたっての技術や実際の稼働状況、安価にできる仕組みなどを情報提供していく方針だ。

 大城川砂防を利用した小水力発電所は、これまでに同課が進めてきた小水力発電モデル施設の一つ。「上水道」「トンネル湧水」「ダム放流水」「砂防流水」それぞれを活用した小水力発電のモデルとなる施設を整備し、それぞれで得たノウハウを他の事業者に提供していく。

 「塩川第2」「若彦トンネル」は2010年度、「深城ダム」は本年度から稼働を始めた。上水道を活用した塩川第2は最大出力82kw、若彦トンネルは80kw。43・35mもの落差を使った深城ダムの最大出力は340kwに上る。

 4つめのモデル施設となる大城川砂防の発電設備は有効落差約12m、最大出力50kw程度を見込む。昨年度に行った基本設計は望月測量設計(身延町)が担当。近く実施設計を委託する予定ですでに指名通知したという。13年度には着工し、14年度の供用を目指す。

 超電導技術を使った電力貯蔵技術は、日当たりの度合いにより出力が増減する太陽光エネルギーを一旦蓄電装置に貯蔵し、そこから安定的に電力を供給するというもの。昨年6月には県と鉄道総合技術研究所が技術協力についての協定を締結。それを受け県は米倉山のメガソーラー隣接地に実証試験用の太陽光発電設備の整備を決めた。

 県と同研究所は本年度中に太陽光設備の規格、建設地の造成からパネル設置に至るまでの設計などを行い、来年度から造成工事に入る。まずは発電設備までをつくっておき、その後試験設備の準備ができ次第試験を始める予定だ。

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