新潟県地質調査業協会(大谷政敬理事長)は8日、新潟市中央区の技術士センタービルで「地質リスク」をテーマとした研修会を開催し、会員約50人が参加した。
あいさつに立った大谷理事長は、「地質調査は設計、施工において重要なデータとなる。精度の高い調査を行うことにより品質が確保され、あらゆるコストを縮減できる」と述べ、今回の研修では「知識と技術の向上と共有」を呼びかけた。
研修では、平野吉彦同協会技術委員会副委員長が地質リスクについて解説。平野副委員長は、地質調査の量が不足していることにより、設計に必要な地質情報が得られていない場合や、質を上げないために過大設計などとなることが「地質リスクの発生要因」と位置付けた。また、2003年に策定された公共事業コスト構造改革プログラムには、地質からの視点が明確化されていないとし、「コスト縮減に最も寄与できる方法は、十分な地質調査による地質リスクの低減である」と強調。
そのうえで、「事業のすべての段階で地質技術者が参画すること」と提言。これにより、事業費が縮減できると効果を上げた。 続いて、大曽根啓介同協会理事、丸山正記同技術委員長が地質リスク事例を紹介。地形発達史が検討されなかったことによる地すべり事故や、地質調査量の不足により、軟弱地盤対策が必要とされた現場での概要を説明。いずれも工事費の増大という結果になり、工事別にリスクを低減させるための考察を解説した。
一方で、地質調査の質を上げることによりリスクを低減し、過大設計を回避した事例も取り上げ、「年度ごとの施工区間にとらわれず全区間の地質調査と軟弱地盤対策工などの優先順位を検討したことが経済性が高まった」と評価した。
協会では、ことしに入って地質リスクの重要性を理解してもらおうと、リーフレットを作成して各発注機関に要望活動を行っている。
【写真=知識と技術を会員が共有した】