経済産業省は、全国8000商店街を対象に空き店舗数や近年の景況などを調べた「平成15年度商店街実態調査」をまとめた。報告によると、商店街の平均空き店舗数は3・90店舗で、空き店舗率(=空き店舗数/商店街の全店舗数)の平均は7・31%。空き店舗が「5店以上」と答えたのは全体の31・1%。また、景況で「停滞している」あるいは「衰退している」と答えた割合は全体の96%を占めた。商圏の狭い商店街ほど「景況が悪い」とする傾向が強く、反対に商圏の広い商店街では「景況がよい」とする傾向が表れている。
この調査は、商店街の発展を目的に昭和45年度から概ね5年ごとに調査を実施。近年の商店街に対する消費者ニーズの変化等から、前回12年度から3年経過した15年度に、2年前倒しして調査を実施した。
主な調査項目は、<1>商店街の概要(組織形態、専従事務局員数、構成員数、店舗数、空き店舗数 等)<2>商店街の立地及び商業環境(事務所所在地、立地環境、中心客層、閉店時間等)<3>商店街の景況と近年の変化(景況、業種構成や空き店舗の変化、大規模小売店舗の影響 等)<4>商店街の問題と取り組み(商店街の大きな問題、ソフト事業やハード事業の取り組み等)など。
人口規模別の商店街の平均空き店舗数のほか、過去3年間(12年度→15年度)の比較などで変化を分析している。
以下、主な調査結果は次の通り。
【商店街の中の空き店舗状況】
◇平均空き店舗数3・90店舗。空き店舗「0店」23・9%、空き店舗「5店以上」31・1%。◇人口規模別=「人口5万人~10万人未満の市」4・63店、「人口5万人未満の市」(4・42店)、「人口10万人~20万人未満の市」(4・28店)。◇商店街タイプ別=「地域型商店街」(4・30店)、「近隣型商店街」(3・81店)、「広域型商店街」(3・42店)。◇商業立地環境別=「繁華街・オフィス街」(4・36店)、「一般商店街」(4・25店)、「駅前」(3・91店)、「一般住宅街・住宅団地」(3・11店。
【商店街街区の店主等の居住状況】
◇「80%以上」居住している32・1%、「0~30%未満」27・5%、「50~80%未満」21・8%。商店街全店舗数の半分未満しか居住していないとする商店街(「50%未満」)は、43・6%。
◇商店街タイプ別=商圏が広くなると居住者が減り「超広域型商店街」「広域型商店街」では「0~30%未満」がそれぞれ80・9%、59・5%。反対に居住者が「80%以上」としたのは「近隣型商店街」が39・6%、「地域型商店街」では26・8%。
【商店街の景況】
◇「繁栄している」2・3%、「停滞している」53・4%、「衰退している」43・2%。「停滞している」と答えた商店街の状況のうち「上向きの兆しがある」4・7%、「まあまあである」(21・0%)、「衰退する恐れがある」(26・2%)。◇商店街のタイプ別=商圏の狭い商店街ほど景況が悪いとする傾向が強く、反対に商圏の広い商店街では景況がよいとする傾向が強くあらわれている。「近隣型商店街」では「衰退している」という回答が49・7%に対して、「繁栄している」は0・8%。一方「超広域型商店街」では「繁栄している」という答えが16・2%に対して、「衰退している」と答えた割合は10・3%。◇商業立地環境別=「繁華街・オフィス街」、「ロードサイド」、「駅前」では「一般住宅街・住宅団地」や「一般商店街」よりも景況が良い傾向があらわれている(第17図、第23表)。◇今後の景況=「衰退する」58・3%、「変わらない」31・6%。
【過去3年間の変化】
◇業種構成の変化=どの業種も店舗数が「増えた」よりも「減った」とした回答が多数。「増えた」業種は「飲食・サービス店」18・2%、店舗数が減ったとしたのは「その他買回り小売店」34・5%、「最寄品小売店」31・0%、「飲食・サービス店」21・5%の順。◇空き店舗数の変化=「増えている」36・8%、「変わらない」44・6%、「減っている」11・2%。◇商店街のタイプ別=商圏の狭い商店街ほど「増えている」傾向がある。「超広域型商店街」では17・6%、「近隣型商店街」や「地域型商店街」ではそれぞれ37・7%、37・9%。◇商業立地環境別=空き店舗が増えているのは「一般商店街」40・4%、「駅前」、「ロードサイド」がそれぞれ37・8%、34・0%。