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10件の手続き適正/若彦トンネル河口工区など/第1回入札監視委員会(1)

2004/06/26 山梨建設新聞

 県は今月15日に開催した今年度第1回山梨県入札監視委員会の審議概要を公表した。同日は事務局より入札・契約手続きの運用状況及び指名停止等の状況の報告が行われ、「一般県道河口湖芦川線若彦トンネル(仮称)河口湖工区建設工事」など10件について審議を行ない、対象工事の手続きがいずれも適正に行われていることを確認した。

 県では「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」及び適正化指針に対応した入札・契約制度の更なる改善として、入札・契約情報の公表対象の拡大、施工体制の点検強化、不正行為に対する厳正な措置などを13年度から実施。また、中立・公正の立場から入札及び契約の過程についてチェックする機関として、学識経験者等により構成される「山梨県入札監視委員会」を設置し、入札・契約手続きなどについて審議しているもの。

 対象工事の質疑概要は次のとおり。

【一般競争入札・道路建設課・一般県道河口湖芦川線若彦トンネル(仮称)河口湖工区建設工事(一部債務)】

◆工事概要=トンネル工L=1453m、W=6.0(7.0)m、掘削工NATM工法掘削断面積55・4~56・4㎡

◆入札参加資格

 ○平成15年度における建設工事の特定調達契約に係る一般競争入札に参加する者に必要な資格等に基づく土木一式工事に係る一般競争入札参加資格を有している任意の3者により構成される特定建設工事共同企業体であること。

 ○企業体の代表構成員は、平成15年5月1日の直前に終了する事業年度を対象とした経営事項審査の土木一式工事に係る総合評点が1200点以上であり、かつ、平成5年4月1日以後に掘削断面積が40㎡以上でかつ延長が1000m以上のNATM工法による新設トンネル工事を元請けとして施工した実績を有すること。

 ○その他の構成員2者は、総合評点が900点以上であり、かつ平成5年4月1日以後にNATM工法による新設トンネル工事を元請けとして施工した実績を有すること。

 入札参加業者数

 ○応募JV全てが要件を満たしていたため、10JV全ての入札参加を認定。Q)県内の業者も入札参加しているが、地域要件を設定しているのか。

 A)WTO(政府調達に関する協定)対象案件のため、地域要件は設定していない。海外企業でも参加可能。

【公募型指名競争入札・営繕課・富士見養護学校校舎改築機械設備工事】

◆工事概要=(学校部分)鉄筋コンクリート3階建て一部鉄骨造、延べ面積1883・28㎡、(ブリッジ部分鉄骨造延べ面積77・70㎡

◆入札参加資格

 ○県内に本店を有し、県における入札参加資格「管工事」の等級が「A」である2者又は、「A」である1者と「B」である1者を構成員とする自主結成による共同企業体(JV)であること。

 ○JVの構成員のいずれかが、元請けとして請け負った下記の条件を満たす工事の施工実績を有する者であること。

 ・対象工事と同種(学校(体育館を除く)の機械設備工事)又は類似(庁舎、事務所、体育館、美術館、図書館(共同住宅、寄宿舎を除く)等の機械設備工事)であること。

 ・面積が1000㎡以上の新築、改築(改修)、又は増築であること。

 ・請負金額が単独施工では3000万円以上、JVによる施工では1億円以上であること。

◆指名業者=応募JV全てが要件を満たしていたため、12JV全てを指名した。Q)この工事は機械のみで、建物は別発注なのか。

 A)そのとおり。

 Q)指名数は昨年と変わったのか。

 A)要綱の改正により、公募の場合は5割まで指名業者を増やせるようになった。

 Q)今回12社指名しているが、審査整理表にある「B」とは何か。

 A)施工実績で同種工事は「A」、類似工事は「B」、発注機関も県や国の場合は「A」、市町村等の場合は「B」の評価としている。

【随意契約・新環状建設・国道140号仮橋保守点検工事】

◆工事概要=◇仮橋賃借料1式仮橋保守点検1式

◆随意契約の理由

 仮橋は、未買収地の迂回のため平成14年3月に指名競争入札により工事を発注し、平成14年6月に完成した。仮橋は引き続き使用するため、平成14年度から、下記理由により設置した業者と随意契約とした。

 1仮橋は継続して使用するものであり、確実な保守点検を行うためには構造等を熟知する必要があること。

 2仮橋の安全性確保や責任所在の明確化のため設置業者による継続的管理が必要であったこと。

 Q)賃借料一式とは何か。

 A)橋の構造がトラスという金属製の部品を組み合わせたもので、その一部は県が所有しているが、約65%をリースで借りるための費用。

 Q)これを請負者が県に貸すということか。

 A)請負者もリース会社から借りているが、それを県が使用している。

 Q)平成14年の工事とは、リースの橋を架ける工事か。

 A)そのとおり。

 Q)リースの橋の管理であれば、設置者ではなくても可能と思われるが。

 A)安全を確保するためには、構造を熟知している必要がある。

 Q)リースの期間はいつまでか。

 A)今月いっぱいで撤去する。

【通常指名競争入札・都留建設部・四日市場上野原線道路工事(明許)】

◆工事概要=本工事は県道四日市場上野原線道路工事における新尾崎橋の橋台A2を設置するものである。新尾崎橋L=45・5mA2橋台1基

◆指名業者を選定した考え方

 (1)地理的条件として当該工事箇所の近隣の実績業者は、秋山村2社、都留市5社の7社である。

 (2)うち1社が、すでに近隣において当建設部発注工事を施工中であるため、これを除く6社とした。

 Q)基礎の工法が深礎杭工法となっているが、誰にでもできるというものではなく技術的に難しいのではないか。

 A)掘りながら設置していくもので一般的な工法ではあるが、専門の下請が入る可能性が高い。

【通常指名競争入札・峡東林環部・唐沢復旧治山工事(ゼロ国債)】

◆工事概要=◇No1谷止工L=23m、H=7・5m、V=303m3◇No2谷止工L=21m、H=6・6m、V=221m3◇No3谷止工L=24・5m、H=7・5m、V=314m3◇山腹工A=0・20ha

◆指名業者を選定した考え方

 (1)技術的特性:過去に治山林道工事の施工実績がある22社を選定。

 (2)地理的条件:うち当該地域での施工実績がある12社を選定。

 (3)継続事業であり、前回の指名実績を考慮して8社を指名。

 Q)こういった沢筋の工事は、毎年継続する事業なのか。

 A)毎年工事を行っているので、継続事業である。

 Q)継続する工事は、1度指名すると次の工事も指名することになるのか。

 A)工事金額により指名数の差はあるが、経験を重んじて同じ業者を指名することになる。

 Q)川筋や急峻な地形の場合は経験を重んじるという方針があるのか。

 A)そのとおり。

 Q)地元である御坂の業者の地理的要件に、印が付いていないのはなぜか。

 A)地理的要件とは、御坂町内で工事実績があるかどうかで判断する。したがって、この業者は実績がなかったので、距離的に近いにもかかわらず、指名しなかった。

 Q)甲府市で地理的条件が合致している会社は、場所だけでなく実績も加味されているのか。

 A)実績を含めて、総合的に判断している。

【通常指名競争入札・耕地課・用の沢橋梁上部工製作架設工事(明許)】

◆工事概要=鋼3径間連続非合成鈑桁L=85mW=7.0m

◆指名業者を選定した考え方

 (1)県内で工事実績のある43社を抽出

 (2)農政部指名実績のある32社を抽出

 (3)農政部鋼橋工事実績のある14社を抽出

 (4)橋梁規模が比較的大きいため、過去2年間の農政部指名状況を基に10社を選定

 Q)橋脚上部工についてはランクはないのか。

 A)鋼構造物についてはランクはない。

 Q)指名回数の多い順に指名しているが、少ない業者に受注の機会を与えるという考え方もあるようだが。

 A)農政部としては工事規模が大きい方なので、指名実績が多い方から選んだ。規模が小さい場合は少ない方から選ぶ。

 Q)技術レベルが高い業者ということか。

 A)指名回数が直接技術レベルに結びつくかどうかはわからない。

 Q)規模が大きい工事と小さい工事で対応が違うのか。

 A)農政部では、橋梁工事は年2~3件。指名状況を考慮している。

 Q)実績がない業者が指名を受ける場合にはどうしたらいいのか。

 A)農務部では県内実績がない業者を選ぶことは考えていない。

 Q)技術を持っていても参加できないということか。

 A)指名できる業者数に対して参加資格を持っている対象者が多すぎるため、全ての業者を指名するというわけにはいかない。

 Q)特定の業者に集中しているように感じる。

 A)農政部実績の32社は、選考対象業者としては少ない方ではないと思う。

 Q)一般県民からみると不公平感を感じる。これでは新規参入は不可能のように思われるが。

 Q)指名を10社に限定しなければならないので難しいとは思うが、14社から10社に絞り込むときは経審点数の方がより透明性が高いと思われるが、そういった議論はされているのか。

 A)全く考慮しないわけではないが、今回の場合は実績を重視した。

 Q)議論がかみ合ってないようだが、絞り込みの課程や新規参入については検討の余地があると思われる。(意見として回答なし)



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