記事

事業者
その他記事(民間)

新潟第一法律事務所/契約関連資料が重要/瑕疵の基礎講座に人気

2012/10/24 新潟建設新聞

 弁護士法人・新潟第一法律事務所(和田光弘理事長)は、住宅・建物の欠陥と賠償責任に関するセミナーを19日、長岡市のアトリウム長岡で開催した。講師は同事務所長岡事務所長の佐藤明弁護士。建築実務者が知っておきたい最新の重要判例を詳しく解説した。

 講義に先立って和田理事長は「瑕疵に関しては建築主と施工者など、立場によって違ってくる。今回のセミナーは、瑕疵に対する基本的な考え方を理解してもらい、クレーム時に少しでも役立てていただければ」とあいさつ。

 佐藤弁護士はまず、建築関係訴訟の審理期間が長期化している現状を説明。この原因として、「専門的な知識がないまま争われ、争点が複数に及んでしまうほか、契約書の条件が詳細に記載されていないことが多い」ことなどを上げ、「審理が長期化することで費用と労力が掛かり、企業は疲弊してしまう」とし、契約書のほかに見積書や設計図、仕様書など建築に関する資料の重要性を強調した。

 建築関係訴訟の判例紹介では、耐震性を高めるために、発注者が300㎜×300㎜の主柱を使用する設計内容を施工者は発注者の了解を得ず250㎜×250㎜の主柱で施工。

 発注者は契約違反とする一方、契約内容を無断で変更した施工者は、構造計算上問題ないと主張。裁判官は契約内容を重視し、工事内容は瑕疵に当たると結論付けた。

 この訴訟の判例に佐藤弁護士は「法律を守っていれば瑕疵に当たらないと思わないように」と、契約書がいかに重要かを繰り返し説明した。

 また、住宅新築請負で、建築主の指示に従い設置した地下駐車場に車が乗り入れられない瑕疵が生じた事例で、裁判では所有者の瑕疵担保責任は認めたものの、建築基準法に違反していることは、施工者は専門家として理解していたはずだなどとし、請負人に重大な過失責任が問われた。

 この判例では、「請負人にも不満があると思うが、施工業者は専門家として社会から期待されていることを認識しなければならない」と、信頼される企業としての意識を持つようアドバイスした。

【写真=判例説明に聞き入る参加者】

新潟第一法律事務所(判例説明に聞き入る参加者005465.JPG

紙媒体での情報収集をご希望の方は
建設新聞を御覧ください。

建設新聞はこちら