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「山武郡市地籍調査協会」が誕生/包括的な受託能力備えた「適格法人」へ 設立総会開く

2012/11/15 日刊建設タイムズ

 地籍調査の適格法人(国土調査法第10条2項)として、「一般社団法人山武郡市地籍調査協会」の設立総会が13日、東金市内の東金エストーレホテルで開かれ、初代理事長に中嶋敏夫氏(㈱つくも代表取締役)が就任した。

 山武郡市の市町当局の設立要請を受けて発足した同協会は、地元測量会社5社と土地家屋調査士3事務所により、全国で最も遅れている県の一つである本県の地籍調査の緊急的整備に向け、スタートを切った。


 初代理事長に中嶋氏

 県内では、2004年に地籍調査の推進を目的に千葉県地籍調査推進委員会、08年には山武郡市地籍調査推進委員会を組織し、県内をはじめ山武郡内の各市町に地籍調査の重要性と必要性を啓蒙。

 その間、国土調査法が改正され、昨年の東日本大震災の発生等でそれらの認識が全国レベルで盛り上がり、同年4月には一般社団法人長生郡市地籍調査協会が設立。本年度に着手した白子町と長柄町の地籍調査業務を受注した。

 本県の地籍調査の整備が遅れた原因としては、①市町村職員に過度な負担があった②一業者の対応では公正さを欠き技術力の格差や大規模な作業に不向き③精通した地域の土地家屋調査士や測量士の連携がなく円滑且つ迅速な推進ができなかった――などがある。

 これらの問題を解消するため、一昨年に国土調査法が改正され、第10条2項で適格な法人には、市町村が包括委託をすることができることとなり、一般社団法人山武郡市地籍調査協会は適格法人として、その目的を達成するために設立した。

 適格法人の重要な条件は、法改正の目的に沿った事業運営を基本方針とし、市町村に代わって包括的に受託できる能力を備えるため、技術力、機動力の向上とともに、公正な運営と永続的な信用力を保持した健全な団体であることが必要不可欠とされる。

 一般社団法人山武郡市地籍調査協会では今後、山武郡市地籍調査推進委員会とともに関係機関に対し、地籍調査事業の早急な整備推進のための啓発活動を行う方針を打ち出している。

 全国におけるこれまでの地籍調査の実施状況は、1951年の国土調査法制定以来、全国市町村の約8割が調査に着手。そのうち、調査を完了した約3割の市町村が成果を利活用している。

 第5次国土調査事業十箇年計画(2000-09年度)に基づく、現在までの本県の実施状況によると、調査対象面積4914キロ平方メートルに対し、09年度末調査済み面積は651キロ平方メートルで、進捗率は13%。

 全国平均の49%を大きく下回るとともに、都道府県別にみても大阪(6%)、京都(7%)、三重(8%)、奈良(11%)、神奈川(12%)、愛知(12%)、滋賀(12%)に次いで、福井(13%)とともにワースト8位を記録。

 ちなみに、本県における地籍調査は、1957年に安房郡三芳村(当時)が調査に着手。現在の県下54市町村のうち、2009年度までに事業が完了したのは神崎町、多古町、一宮町の3町で、実施中が千葉市、市川市、旭市、流山市、南房総市、山武市、芝山町、東庄町、大多喜町、鋸南町の6市4町。休止中は成田、柏、市原、富津、香取の5市。

 以下、同協会の2012年度事業計画をはじめ役員、構成会員は次の通り。

 【2012年度事業計画】

 〈事業活動方針〉

 地籍調査を包括委託することが可能な法人として、地籍調査事業の主旨とともに関係市町村の基本方針のもと、地籍調査事業を円滑に推進し、登記に関する手続きの円滑な実施に資し、国民の権利の明確化に寄与することを目的とし、以下の事業活動に取り組む。

 1.各市町村の事業計画書作成に関する支援をする

 2.地籍調査事業の包括委託方式における実施体制を協議検討のうえ確立する

 3.地籍調査事業における工程別の作業手法の検討を行い、事業着手の準備をする

 4.地籍調査事業の啓発とともに予算拡大のための活動を行う

 以上、本年度の事業として関係機関の指導及び助言を受け、各委員会の検討会議などによりまとめていく。

 〈主な事業〉

 1.設立総会:2012年11月13日

 2.事務局の設置:2012年11月

 3.設立記念式典:2013年

 4.技術研修:①法人内研修②法人外研修③地籍主任調査員試験の受験奨励④管理システム及び処理ソフト等の選定検討⑤その他

 5.啓発活動:推進委員会と共催して行う。①近隣市町への挨拶②市町関係者への説明③署名活動運動④予算要望活動⑤その他

 6.各部の業務指針(案)作成

 〈総務委員会〉

 ①配分基準の作成②包括委託のあり方③各部業務分掌等の明確化④その他

 〈技術委員会〉

 ①作業計画書の作成について②工程別の研究③作業フロー④作業手順書⑤積算歩掛基準⑥その他

 〈検査委員会〉

 ①検査方法について②マニュアルの作成③その他

 【役員】

 □理事長=中嶋敏夫(㈱つくも代表取締役)

 □副理事長=牧野光秋(八紘測量開発㈱代表取締役)

 □理事=小安隆夫(㈱サン測量設計代表取締役)▽糸房秀昭(糸房秀昭事務所土地家屋調査士)

 □監事=宇佐美 明(宇佐美明事務所土地家屋調査士)▽渡邊 実(渡邊実事務所土地家屋調査士)

 □事務局長=佐久間辰男(㈱つくも営業部長)

 【会員】〔▽会社事務所名(代表者名、住所)〕

 ▽㈱つくも(中嶋敏夫、山武郡大網白里町大網652-3)

 ▽八紘測量開発㈱(牧野光秋、東金市東新宿19-4)

 ▽㈱サン測量設計(小安隆夫、東金市道庭748-18)

 ▽千葉セントラル測量㈱(小川清美、東金市田間792)

 ▽㈲ビュー設計(藤村安雄、東金市田間258-2)

 ▽糸房秀昭事務所(糸房秀昭、東金市北之幸谷9-6)

 ▽宇佐美明事務所(宇佐美 明、東金市田間354)

 ▽渡邊実事務所(渡邊 実、山武郡横芝光町二又383-1)


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