林野庁中部森林管理局は6日、2012年度(平成24年度)治山・林道工事コンクール表彰式を執り行った。表彰に先立つあいさつで鈴木信哉局長は、「ほかの工事と違い林業土木と言われている。何十年も経って堰堤工や山腹工が見えるようでは優良とはいえない。どこを工事したか分からない、山に戻したのが良い仕事」と語り、「災害を受けずに使用され続けて、林業生産に結びつくのが極めて重要」と林業土木のあるべき方向性を示した。
また鈴木局長は「従業員、家族、地元の方々の協力あっての受賞。会社などに戻って報告して、皆で喜んでほしい」と周囲への感謝も忘れないよう言い添えた。
松本寛喜・森林整備部長から報告された審査経過では、11年度に実施された治山123件、林道48件の工事対象から選ばれた旨が伝えられ、工程管理、出来形管理などの面で優れていた点が紹介された。
また来賓からは、議会開会のため塩入茂林務部長に代わり出席した、佐藤公男主任専門指導員から国の補正等により増加した林務部予算について「早期発注に努めたい」との方針が示されるとともに、「技術者の養成は重要と考え、今年から若手技術者表彰を試行した。技術の研鑽に励み、治山林道事業推進に協力を」と述べた。
これらに対し、受賞者を代表して謝辞に立った新宅組の新宅義昭社長は、工事完了後しばらくして現場を訪れたことを振り返り、「工事完了時はよく分からなかったが、間伐材の搬出に林道が使用されており、すぐ使ってもらってよかった」と当時の感想を語り、「国の財産であり、自然環境を守る山の仕事をしているのを誇りに、皆のためになる山を造っていきたい」と抱負を述べた。
治山・林道工事コンクールの受賞者は次のとおり。(敬称略)
【林野庁長官賞】
◇三六組(取締役社長・長坂亘治)=平成23年度ザ沢向復旧治山工事
【中部森林管理局長賞】
◇北野建設(代表取締役社長・北野貴裕)=湯ノ入川2復旧治山工事
◇傳刀組(代表取締役・傳刀宗久)=唐松沢復旧治山工事
◇金森建設(代表取締役・金森次郎)=大渚地すべり防止工事
◇新津組(代表取締役社長・新津正勝)=鍋割沢川2復旧治山工事
◇宮下建設(代表取締役・宮下金俊)=歌宿沢復旧治山工事
◇木下建設(代表取締役社長・木下隆由)=小西川復旧治山工事
◇川瀬建設(代表取締役・川瀬雄一)=黒川支線作業道新設工事(2)
◇新宅組(代表取締役・新宅義昭)=フ力沢林業専用道新設工事
◇大宗土建(代表取締役・杉山博一)=中ノ沢林業専用道新設工事
◇主任技術者・片桐茂昭(三六組)=平成23年度ザ沢向復旧治山工事
◇現場代理人・新井英博(三六組)=前同
【写真①式後の記念撮影②「林業土木は山に戻す」と語る鈴木局長】