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茨城県水戸市

水戸市長が市民会館の移転建て替え示す

2013/03/12 日本工業経済新聞(茨城版)


 水戸市の高橋靖市長は11日、大規模な地震で倒壊または崩壊する危険性が高いと診断された市民会館(中央1―4―1、1972年完成)について、開会中の2013年(平成25年)第1回市議会定例会で「移転建て替え」の方向性を示した。伊藤充朗議員(公明党水戸市議会)による代表質問への答弁。試算によると、現在の建物を免震改修する場合は約42億円、建て替えの場合は土地代を除き約42億6700万円が必要となるもよう。ただ、移転先については明示されず、今後は建設場所をどこにするかが注目されるところだ。


 市民会館は、隣接する本庁舎と同時期の1972年に竣工。規模はRC造(一部S造)4階建て延べ床面積7497・92㎡。東日本大震災後、本庁舎が使用できなくなったため、館内に市役所の各機能が移転している。

 しかし、㈱桜設計事務所(水戸市千波町)による耐震診断の結果、Is値は0・12から4・27。特にホール部分の数値が低く、1階のY方向(東西方向)で0・3未満となった。Is値が0・3未満は大規模な地震の振動および衝撃に対して倒壊または崩壊する危険性が高いとされており、耐震化が必要とされる。

 このため、新年度当初予算案では旧水道部庁舎跡地(約1300㎡)に新設するプレハブ庁舎(3階建て)の賃借料など2億4883万円を計上。予算が議会で可決されれば2014年1月ごろの完成を目指していくことになる。プレハブ庁舎への移転が終われば、市民会館は全面的に使用禁止とする見込み。

 耐震化する場合のコストの試算は、免震改修が約42億円、耐震補強が14億8700万円、建て替えが約42億6700万円。免震改修の場合、建物の老朽化が進んでいるため、建て替えとほぼ同額の費用が必要となる。また、耐震補強の場合は、ブレース補強などにより利用上の制約が大きくなる。

 当日の市議会では、伊藤議員がコンベンション(大規模な集会)機能の充実と市民会館のあり方について質問し、高橋市長は「国際会議や全国大会の受け皿となる施設の整備が必要」との認識を示し、市民会館を移転して建て替える考えを明らかにした。

 ただ、高橋市長は移転先については言及せず、今後は建設場所がどこになるかが論点となる。なお、水戸駅北口の中心市街地を構成する商店会などは、駅の北側への移転を要望している。


【写真=高橋市長が移転建て替え案を提示した市民会館】


水戸市市民会館014633.JPG

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