東京湾の富津市から館山市にかけての海岸保全施設の整備等について検討する「東京湾沿岸海岸保全基本計画内房検討委員会」(委員長・磯崎雅彦東京大学大学院新領域創成科学研究科教授、委員17人)の第2回目が26日、千葉市内のプラザ菜の花で開催され、海岸保全施設等の高さのイメージや東京湾沿岸海岸保全基本計画の変更案が事務局から提示された。基本計画変更案は、新年度でパブリックコメントを実施し、県民の意見を取り入れて本年秋ごろをめどに最終案をとりまとめる方針。
津波高に対する海岸保全施設のイメージでは、館山市の大房岬から館山航空基地の区間を対象に、①船形海岸②館山海岸(那古地区)③館山港海岸(館山地区Ⅱ期区間)④館山港海岸(館山地区Ⅰ期区間)⑤館山港海岸(館山地区新井海岸)の5つの海岸を例にとって写真を使い、標高TPと嵩上げ後天端高の具体的なイメージを示した。
一方、「東京湾沿岸海岸保全基本計画案」については、2004年度に策定した基本計画をもとに、昨年12月に開催された東京湾内湾委員会での意見を取り入れて、事務局が変更案を取りまとめ、委員会に提示した。
基本計画案では、内房地区を①富津市富津岬~富津市金谷②富津市金谷~鋸南町西ヶ崎③鋸南町西ヶ崎~南房総市大房岬④南房総市大房岬~館山市航空基地⑤館山市大賀~館山市洲崎の5つのエリアに分けて、設計津波の水位と海岸保全施設等の高さの目安が加えられた。
設計津波の水位と海岸保全施設の高さの目安は、富津市富津岬~富津市金谷が設計津波の水位3.3m、海岸保全施設の高さの目安3.9~4.5m、富津市金谷~鋸南町西ヶ崎が同3.7mと同3.9~4.5m、鋸南町西ヶ崎~南房総市大房岬が同4.4mと同4.4~5.0m、南房総市大房岬~館山市航空基地が同4.9mと同4.9m。館山市大賀~館山市洲崎が同4.1mと同4.1m。
海岸保全施設等の高さの目安は、設計津波水位と高潮計画の高さを比較し、高い数値を設定。鋸南町西ヶ崎から館山市洲崎にかけての3地域はいずれも高潮計画の高さよりも設計津波水位が高くなることが予想されるため、高潮計画の高さについては、詳細に検討する段階で必要に応じて個別海岸ごとに波の打上高を算出し、再度比較検討することとした。
また整備計画のゾーン別計画では、新たに①南無谷漁港(南房総市)②岩井袋漁港(鋸南町)③保田漁港(鋸南町)④新生漁港(富津市)の4地区が追加された。4地区は今後、地域の実情に応じて高潮・津波対策を実施していく。
県は、東日本大震災を教訓に「東京湾沿岸海岸保全基本計画」の津波対策について、「東京湾沿岸海岸保全基本計画内湾検討委員会」と「東京湾沿岸海岸保全基本計画内房委員会」の2つの委員会を設置し、見直しの検討を進めている。
内湾検討委員会は浦安市から富津市まで、内湾委員会は富津市から館山市までの地域を対象に、海岸保全施設の高さの目安や東京湾沿岸海岸保全基本計画の変更につい検討。内湾委員会は昨年12月の委員会で海岸保全施設の高さの目安案と基本計画案を提示している。
県は内湾検討委員会と内房検討委員会の審議結果をもとに、新年度でパブリックコメントを実施し、その結果を踏まえて基本計画変更案等の最終案をまとめ、その後、1都2県の計画策定懇談会に諮り、秋ごろまでに国土交通大臣・農林水産大臣に計画書を提出する予定。