国土交通省は、同省住宅局が監修を務め、財団法人日本建築防災協会(東京都港区)が発行する書籍「木造住宅の耐震診断と補強方法」を認定した。今回の改訂により、伝統的構法や3階建ての住宅まで対象住宅を拡大したほか、一般の住宅所有者・居住者向けに「誰でもできるわが家の耐震診断」を作成。技術者向けには「一般診断法」と「精密診断法」の2通りを用意し、補強効果の評価など目的に応じた診断手法を示している。
同書は、昭和54年に初版発行された『木造住宅の耐震精密診断と補強方法』(平成7年増補版発行)を改訂したもの。大規模地震の発生が危惧される中で、従来よりも的確に住宅の耐震性を評価できるように、最新の研究成果を踏まえ改訂した。「特定建築物の耐震診断及び耐震改修に関する指針」(平成7年建設省告示第2089号)と同等と位置づけられる木造住宅の耐震診断法が記載されている。
主な改訂点として、住宅所有者・居住者が住宅の耐震化の必要性を簡単に評価できるように診断指針「誰でもできるわが家の耐震診断」を作成するとともに、従来あまり明確ではなかった基礎の効果や継ぎ手・仕口等の接合部の評価を行うようにしたほか、劣化の評価方法を住宅の部材ごとに行えるように改めた。
従来から壁の補強や屋根の軽量化等の補強方法を評価していたが、これに近年開発されている新しい耐震補強方法を評価できる手法を加え、補強した場合の効果が耐震診断結果に適切に反映されるようにした。
これまでの場合、実際に診断してみると1階が車庫や玄関、居間や店舗のため、前面の耐力壁が少ない平面上耐力壁の配置が偏る、いわゆるピロティタイプ住宅が大半で、地震時に建物が大きくよじられ、建物の倒壊を引き起こす大きな原因だった。このタイプは、神戸の地震では最も大きな被害となり、平成12年には建築基準法の改正をもたらした要因となった。
同省では、この書籍の活用を推進し、住宅の耐震診断・耐震改修を一層強めていく方針。
なお、書籍は日本建築防災協会(〒105-0001東京都港区虎ノ門2-3-20虎ノ門YHKビル8階電話03-5512-6451、FAX03-5512-6455)で入手できる。