建設行政のIT化を進めている県土整備部は、「電子納品」における今年度の方針を示した。工事、委託業務ともに3件、全6件を試行した15年度から、今年度は同部内すべての発注課所で複数件数を下期から実施していくことを明らかにした。電子納品は、協力企業が対応できる範囲までを対象とし、特に工事については完成、安全管理、施工状況、材料検査などの「写真」の納品を重視する方針。
今年度の電子納品は、15年度の試行からさらなる拡大を掲げ、実証実験を積み上げる。具体的な納品対象案件は、県土整備部の各発注課所が今後決定していくとしながらも、受注者が電子納品に対する協力体制が整えられれば、すべてを対象にしたいと意欲を示している。
県土整備部全発注課所は工事、委託業務から複数案件を下期から着手し、受発注者ともに電子納品への理解と技術力を向上させる。そのうえで、課題と改善・対応策、今後の展開などを模索していく。
今年度の拡大実証実験を経て、17年度は段階的に本格導入していくとしている。
将来的には、電子納品一連の作業のうち、契約書、図面による打ち合わせなど、あらゆる作業を電子媒体とする方針だが現時点では、写真のみの納品を重視するもよう。
委託業務につていは図面が電子に納められるが、工事については現場での品質が最大の成果品と考えている。このため、試行段階では完成写真、安全管理写真、材料検査写真、品質管理写真、施工状況などを「写真」で施工記録を残す。
15年度は▽「総合治水対策特定河川工事掘削工15-1工区」(受注者・忠和総合建設)▽「荒川右岸流域下水道終末処理場第1汚泥棟排水槽防食工事」(同・ユーディケー)▽「中川流域下水道中央幹線チュウ11人孔防食工事」(同・白石建設)▽「広域河川改修工事片柳橋詳細設計業務委託」(同・なドマン技術研究所)▽「橋梁修繕工事入間大橋詳細設計業務委託」(同・新構造技術)▽「街路改良工事道路詳細及び電線共同溝予備設計業務委託」(同・協和コンサルタンツ)の6案件で実施した。課題は電子納品のイメージを受発注者いずれも正しく把握することでは想定している。