県は県営住宅の中長期を見据えた維持管理や、整備に当たっての考え方を示した県営住宅ストック総合活用計画の改正素案をまとめ、公表するとともに、県民からの意見募集手続きを開始した。建替えでは、従来の全面方式に加え、部分建替えの考え方の導入による団地規模の適正化。東日本大震災を踏まえての津波への対応、コミュニティの活性化を目的に、空き住戸などを活用し福祉施設等の立地を図る考えだ。再生活用に当たっては概ね、建設年次別に対応方針を示している。寄せられた意見を踏まえ確定する。
県営住宅ストック総合活用計画は平成13年、昭和40代以前に建設し、老朽化した県営住宅が全体の半数以上を占める中、県営住宅の供給において、量的拡大から現在管理しているストック(住宅)の利活用へ施策転換を図るとともに、住宅セーフティーネットとして真に住宅に困窮する人への的確な供給を目的に、今後の県営住宅供給の基本方針と推進するべき施策を定めた。18年4月に改正している。
今回の改正は、少子高齢化の進展や住宅の老朽化の進行に加え、地震防災対策など新たな社会情勢の変化を踏めた対策を講じる必要性から検討が進められたものだ。
計画期間を25年度から34年度の10年間とし、計画内容については、5カ年終了時点(平成29年度)で必要に応じて見直すこととしている。概ね、建設年次により建替え、個別改善、設備保全、維持保全、用途廃止の方針を示した。
建替えは、事業継続中の団地(新規建設事業継続中の阿久和団地を含む)と建設後概ね50年経過している団地(今後の建替え等を視野に入れて、概ね20年間程度の使用に耐えうるもの)を対象にし、緑ヶ丘を建替え、追浜第2では、近隣の統合促進団地の入居者を受け入れ、団地再編を促す。
伊勢原テラスなど7団地では、住棟の一部の建替えを行い、団地内の入居者移転を行う。移転に伴い、空き住棟ができた場合は、その住棟を除却することにより、土地の集約を進める。
阿久和団地など2団地は、一部建替えで、団地内入居者の移転を実施するとともに、近隣の統合促進団地の入居者を受け入れ、団地再編を進める。
建替えになどによって生み出された余剰地は、地域に資する利活用や売却への取り組みを強化する。
団地再生に当たっては、地域コミュニティの活性化によるまちづくりや住環境の向上に資するため、期限付きによる若年層の入居促進とともに、空き住戸などを活用した福祉施設等の立地を図る構えだ。
建替え以外の取り組みでは、主として、昭和40年代の耐火構造の住棟について、個々の構造や間取り等に合わせて的確な改善により長期有効活用を図るという個別改善で対応する。現在、事業中の浦賀かもめ団地、汲沢団地、鶴ヶ丘団地、野川南台団地、日野団地は完了を目指す。
一方、個別改善を実施していない団地のうち、建設後40年以上経過した住棟については、重点的に事業を実施する。その他の団地についても、入居者の調整が行われた住棟から着手していく。また、高層棟など特殊な団地については、改善手法を検討し、早期の着手を目指す。いずれの団地も個別改善に着手するまでは、適切な維持管理に努める考えだ。
また、個別改善の実施済み団地の11団地7250戸においては、共用設備配管の取換えなどの改修を実施し、長寿命化を図る。
昭和50年以降の比較的新しい団地や個別改善を実施した187団地2万5715戸については、長寿命化計画に基づき、防水改修・外壁改修・外部建具改修等(計画修繕)の適切な維持保全を実施する。
綾瀬団地など敷地に規模形状等の状況により、建築基準法などの法規制で建替えが困難な団地や老朽化した小規模団地(概ね100戸以下)は、耐用年限が経過した住棟について、修繕しても長期の使用は困難なことから、原則として用途廃止とする。