新斎場建設を計画している川越市は26日、基本設計成果を明らかにした。2013年度は斎場整備推進事業として事業費5億2814万1000円を計上し、用地取得、造成工事を行うとともに実施設計へ取り組む。用地については未取得で購入は議会案件となり、早ければ6月議会で提案する見通し。造成工事は13年度下半期にも着手し14年度上期をメドに完了させる。14年度以降の主なスケジュールは、14年度下期から建設工事、火葬炉設置工事へ取り組み、17年春開業を予定。基本設計は石本建築事務所(千代田区、電話03-3262-7161)がまとめた。実施設計も同社と契約予定で年度内にまとめる。
建設地は市民聖苑やすらぎのさと東側農地の小仙波786-1の約1万8150㎡。国道16号と国道254号が交差する交通の結節点に近く、市内全域からの交通アクセスに恵まれている。2月18日には都市計画決定を行い、体制を整えた。
施設整備方針として①旅立ちの場②別れの時を静かに感じられる場③人と環境にやさしい施設――を掲げている。
全体の配置計画は周辺住宅、商業施設、福祉施設などに配慮した駐車場や建物を配置。建物はバリアフリー化を図るとともに周辺からの景観にも配慮。外観イメージは周囲の田園風景と調和し、小江戸川越にふさわしい瓦葺きとする。建物の高さを抑え、外装は落ち着いた色調の計画。敷地周囲と場内各所に常緑樹と落葉樹を植樹、豊かな四季の風景を演出する。また、構内の交通安全に配慮し、歩行者と車両帯および動線を分離した。
建物規模はRC造一部S造平屋一部2階建て、建築面積6649㎡、延べ床面積7280㎡。
内部は人体炉12基、動物炉1基、人体炉2炉1系統排ガス処理設備、動物炉1炉1系統排ガス処理設備、約70㎡の告別室4室、他動物炉用告別室1室、約70㎡の見送りホール4室(3炉1室)、約60㎡の収骨室4室、約70㎡(42人収容)の待合室8室、90㎡(62人収容)の待合室2室で計10室、約70㎡(30人収容)式場2室、会葬者控室2室、遺族控室2室などとする。
駐車場は南東側農地から一定の距離を設け、適正台数を確保する。台数は乗用車168台、マイクロバス専用14台で計182台の計画。
環境配慮計画は、建物を高断熱化することで空調エネルギー削減を図る。具体的には高窓や中庭から自然光を取り入れ、照明エネルギー削減を図るほか、雨水をトイレの洗浄水に利用し水資源を有効活用する。また高効率空調、電気設備を採用し、使用電力削減に努める。そのほか太陽光発電や地中熱利用による空調設備採用など積極的な自然エネルギー利用を進める。
災害対策では、災害に強い施設づくりを行い、大規模災害後なども稼働可能な施設を目指す。火葬炉熱源は都市ガスとし、供給の一時停止に備えて代替設備による稼働可能な設計とする。さらに、停電時に備えて自家発電機設備を設置する。
内部空間デザインなどについては故人の尊厳、会葬者の心情に配慮し、全体的に明るく、落ち着きのある、各諸室に適した内装計画とする。加えて、シックハウス対策など利用者にやさしい室内環境とする。