関東地方整備局の上野賢一建政部長は10日、日本工業経済新聞社が加盟する竹芝記者クラブの就任インタビューに応じ、「所管する分野が多岐にわたっているので非常に重責は感じるが、これまでに関係するポストを歴任してきたので、その経験を生かしながら、建政部が抱える課題に真摯に向き合って問題解決にあたっていきたい」と抱負を述べた。
また「整備局は地方自治体や事業者に、より近いところにある。国営公園を管理するなど住民へのサービスも直接行っている。公共団体、事業者、現場のニーズや課題をよく聞いて行政を進めていきたい」と話す。
本省の都市・地域整備局開発企画調査室長時代に、東日本大震災への対応も経験。具体的には「津波で被災した住宅地を高台に移転する際に、土地利用規制の一元化、制度運用の弾力化に取り組んだ」。そうした経験からも「色々な手法を組み合わせて自治体のまちづくりの支援をしていきたい」と考えている。
建政部は事業者の指導・監督、立入検査を念入りに行っている。「競争力のある市場の形成ということからすると、不正に利益を得ようとする業者、消費者に対して危害を加える業者には、アンパイアとして厳正に処置していかなければならない。建設業であれば法令遵守推進本部による立入検査などを、これまでの流れに乗ってしっかりやっていきたい」と語る。
社会保険未加入問題対策については「法定福利費を負担しないことで受注競争上、有利になってしまうということはあってはならない。公正な競争環境を生み出す必要がある。昨年から建設業の許可・更新、経審に当たって保険の適用に関する確認を行っている。未加入建設業者に対しては、文書により早期の保険加入を指導している状況。大臣許可業者だけでなく知事許可もあるので、地方公共団体と連携していくことが不可欠。複数回の指導をしても未加入の場合は保険担当部局に通報する。それでも改善しない場合、是正のための手続きを尽くしたにも関わらず未加入を継続している悪質業者に対しては、監督処分までやっていきたい」との姿勢で臨む。
兵庫県出身。趣味は街歩き、読書、音楽・美術鑑賞、ゴルフ。
【略歴】
うえの・けんいち
1964年生まれ、48歳。東大(経済)卒。88年建設省。UR都市機構本社ニュータウン業務部チームリーダー、国交省都市・地域整備局都市計画課開発企画調査室長、西日本高速道路総務部長などを経て、4月より現職。