厚木市は、市が保有する公共施設の道路、橋りょう、下水道等の土木施設を除いた施設の最適化に向けた考え方を示した公共施設の最適化基本方針をまとめた。
基本方針は、公共施設の老朽化に伴うコストの拡大が予想されるなか、将来に向けて市民が安心して施設を利用することができるよう、あり方について、取り組み手法などを示したもので、施設の統廃合や、多機能化・複合化を進めるほか、民間のノウハウの活用を求めながら更新を図る考えだ。市では、この方針を基に(仮称)公共建築物長期修繕計画の策定に取りかかる。
厚木市が保有する公共施設は、学校、公民館、文化施設、福祉施設など777棟(329施設)、床面積で57万1000平方㍍(24年6月現在)になる。このうち建築後30年を経過する施設は22万6000平方㍍。施設の老朽化が一斉に進み、近い将来集中的に更新時期を迎えることになる言う。少子高齢化の進展から増加が予測される扶助費などにより、増加が見込まれる維持補修費や普通建設事業費の確保が難しい状況を予測する。
市の試算によると、全ての公共施設を更新した場合、26年度からの40年間で1651億円、大規模修繕による保全費用は333億円、1984億円が必要となる。財政状況から推計では1573億円しか確保ができず、411億円の不足が見込まれ、現状の公共施設の規模を今後も維持していくことは困難な状況と判断し、考え方である基本方針を策定した。
方針では、将来にわたり持続可能な市民サービスの提供、統一的な考えに基づく施設の最適化を図ることを前提に、今後、急激な増大が予想される施設の運営、維持、修繕、更新等の費用に対応するため既存施設では、多機能化・複合化及び統廃合を進め、市が保有する施設の総量を抑制する。また、統廃合などによって生み出された施設の跡地は、原則、売却とし、公共施設の更新費用に充てる。
老朽化等の要因で、更新時期を迎える既存施設は、公共施設の多機能化、複合化を推進する一方、施設ごとに将来的な必要性の有無を検討し、段階的な統廃合に向けた検討を行う。また施設・更新の際には、民間のノウハウを最大限に活用することとし、公民連携(PPP等)の手法を検討する。
この他、国・県施設との役割分担や連携による最適化の可能性を探る。
その上で公共施設の最適化による中心市街地の活性化を早急の取り組むべき課題として示し、建築物の長寿命化及びエネルギーコストも含めたライフサイクルコスト縮減を目的に、施設の耐用年数までの修繕工事内容、実施時期、工事費用を検討した(仮称)公共建築物修繕計画の策定に取りかかる。