東京国税局の公売に対し異議申し申し立てがあった「甲府銀座ビル」(甲府市中央1丁目)の今後の活用方法について㈱アクロス(新宿区富久町7-8)は18日、14階建ての複合ビル建設を計画していることを明らかにした。同日開かれた甲府市中心商店街再生協議会で考えを示したもの。1階に商業スペース、2-14階を分譲マンションとする構想。同社が全体計画を策定し、共同事業者となるマンションディベロッパーとともに建設する意向としている。ただし、東京国税局は異議申し立てに対し今後の対応を示していないことから、今後のスケジュールの見通しは立っていない。
計画によると、甲府銀座ビルを解体し新ビルを建設する計画。1階は店舗専有面積約300㎡、2階から14階が住宅戸数120戸程度、住宅専有面積約9000㎡で計画。アクロスと共同事業者が1階の商業スペース売却と住宅部分の分譲事業を行う。商業スペースについては「地元に利益還元できるよう官民で構築することが極めて効果的。実現に向けては積極的に協力する」との姿勢を示している。
今回、東京国税局からアクロスへの正式な売却が決まる前に計画が示されたのは、中心市街地の活性化に向け、甲府銀座ビルを含め官民一体で推進するため、同社が示した施設建設も含め検討する必要性があるため表明。市や商店街、甲府商工会議所関係者らで構成する甲府市中心商店街再生協議会(会長・長坂善雄甲府商店街連盟会長)は、18日に同計画を踏まえ今後の方向性を話合った。
同社では「立地条件も良く、地域活性化のため早急な整備が必要。災害時の安全性からみても、これ以上放置できないことから事業化した」との考えを示している。パートナー企業となるスタイレックス(一級建築事務所)と協同し、ハードとソフト面から、より具体的な事業計画も提案するとしている。
このほか、同社は周辺整備に関して現時点で考えられるコンセプトも提案。かすがも~るを幅員することや、路上にパラソルを設置しイベントを開催するなどソフト・ハード両面からの提案も示された。また、店舗に関する内容ではテナント間に明確な境界を設けず、連携を図ったうえで賑わいを創出。店舗と商店街はフルオープンのサッシで仕切り、季節や天気に応じて開け閉めでき、通りとの一体感を味わえるようにすることも出された。
今後は、東京国税局から回答が出ていないため流動的であるものの、協議会の検討内容をアクロスにフィードバックするなど検討し、具体的な内容が詰まる見通しとしている。
【写真=複合ビル計画概要】