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「今できることをやる」/長田富也道志村長・就任インタビュー

2013/10/19 山梨建設新聞

 ことしの7月、任期満了に伴う村長選挙で、現職候補を破り、見事初当選を果たした長田富也村長に、村長就任の意気込みや、今後の村政に対する方向性などについて聞いた。

―初当選の抱負を

 約45年近くにわたり、製造業の会社を経営してきた。ここで積み重ねてきた多くの経験やノウハウを村政に生かしたいと考えている。

 村で生活していくうち、学生が村外の学校へ通学する際に不便をきたしている現状や、若い人が村外に流出する原因となる雇用面の充実が図られていないなど、政治でないと新しい改革が移せないと思い、道志村長に立候補した。


―村内で抱える課題や、問題点は

 まず、仕事が少ないことや、少子高齢化の傾向にあるが、なかなか打つ手がない。しかし、製造業を営んでいた経験から話すと、昭和町や忍野村のように、良い会社を誘致できれば人が増え、財源も増やすことができる。村では特に福祉関係に力を入れることで、雇用や少子化の問題が解決できるのではと考えている。

 村内に生活している子供たちが、いずれ大人になった時、道志村に生まれ、住んでいてよかったと思ってもらえるような村づくりを今進めていきたい。道志村は、都心から離れている地域のため、特に村内の若い人達には、閉鎖的な気持ちにならないよう、交通、福祉面で強化を施し、少しでも村を豊かにするため、解消を図っていきたい。


―「福祉村構想」を掲げられておりますが

 村内には、後期高齢者の方々が約330人住んでいる。今後は、団塊世代が全国的にも65歳を超え、70歳近くに達すると、老人もますます増加傾向となっていくだろう。これを背景に選挙公約で「福祉村構想」を掲げた。内容は、村内に福祉施設を作り、横浜市内の方々などを誘致する。施設は木造で、道志村の木材を利用し地産地消を図る。施設の原材料を安く調達できれば、利用者の負担も安く抑えられるという考え。

 この施設で人が集まれば、多くの雇用が生み出せる。高校や大学を卒業後に、村内に整備する福祉関係の仕事に就いてもらい、ここで一家を支えてもらうことができれば、少子化を抑止することができる。施設では、村内で生産した米や野菜など、農作物の消費も多く見込めるだろう。経済効果も必ず出ると思う。

 このように今やらなくてはいけない事業がある。この構想はまさにそれにあたる。今できることをやらなければ、村の発展に遅れが出る。そうならないためにも、スピーディーに推進していきたい。


―新トンネル建設の構想について

 近年、死火山とされていた富士山の火山活動が懸念されている。体に感じない微動も多いと聞く。もし災害が発生した際には、村内を横断している国道413号が避難道路として利用することができる。村内には、過去に発生した富士山噴火による溶岩が見つかっていない。そのため、万が一の避難道路になると想定すると、防災道路としての利用は有効となる。

 災害時に都留市や上野原、東京方面へけが人を搬送する場合は、現在の峠を使うと多くの時間を要してしまう。そのため、都留、東京へ抜けるための「防災トンネル」を、延長約3000mを目標に、新たに整備する方向で進めて行きたい。村内から都留の駅まで、今の峠を通勤、通学に利用している村民も、既道では不便を抱えている。完成すれば大きなメリットが出てくる。

 また、国道413号から、既存する都留の県道についても国道に昇格してもらいたい。これらを要望する為、県の関係機関に出向き、整備を働きかけて行きたい。


―趣味や、自身を支える好きなことばは

 ゴルフを趣味として楽しんでいる。好きな言葉は「正直は信用を生み、信用は富を生む」。信用されなければ、儲けは出ないという意味あいがある。この言葉は手持ちの手帳へ、毎年正月に書き込んでいる言葉だという。書き込みを初めてからは30冊以上を超え、長く大事にしている言葉だそうだ。さらに、年齢を重ねてからは「向上心を持ち、心豊かに励む」。これは、物事にくよくよせず、前向きに過ごすことだという。


【略歴】

 おさだ・とみや

 1970年1月、㈱長田電材工業代表取締役。1983年3月、アイトー電子㈱代表取締役。1988年5月、道志村議会議員(~1992年5月)。2005年11月、クリエイティブダイカスト㈱代表取締役。2013年7月、道志村長初当選。1942年生まれの71歳。

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