相模原市が条例制定を計画する環境影響評価制度(環境アセスメント)について考える環境審議会に設置された環境影響評価制度検討部会の第9回が21日、橋本公民館(緑区内)会議室において開催された。対象事業や、評価項目、手続きの進め方など部会としての考え方を示した審議会に送る最終報告案などについて審議した。次回の第10回の議論を経て、年内に開催予定の審議会に送る構えだ。
市の環境アセス導入に向けては、市内には都市型の環境だけではなく、津久井地域に広がる豊かな森林や水資源など多様な環境があることから、地域ごとの特性を活かした環境配慮手続きの構築や、住民への情報提供及び住民からの意見提出の機会の充実、市が事業者に対し直接意見を提出することのできる手続きなど、市の地域特性に配慮した自立的な環境アセスメント制度のあり方を検討することが必要と判断し、制定に向け取り組んでいるところだ。
この日、審議した審議会に送る最終報告案では、環境と共生した持続可能な都市づくりなどを着実に進めていくためには、早期の環境影響評価制度の導入が急務であるを必要性を説いた。
そのうえで対象事業としては、30事業を候補に挙げた。このうち市の特性を踏まえ、独自のものとして、県条例にはない大規模商業施設、大規模物流施設の建設、土砂等の埋め立てを入れた。
また、いわゆるアセス逃れを抑止する観点から、規模要件に達しない複数の造成事業でも、それらが一団または、隣接する区画で複合的に行われる際、事業者が同一等、各事業が進入路、事務所等を相互に利用し合うケースも対象とした。
地域区分については、①豊かな自然環境を保全するため、開発に対し特に配慮を要する地域…国定公園、県立自然公園、県自然環境保全地域、近郊緑地保全区域…面積比40%。②集落や農地と森林で形成されており、開発に対し一定の配慮を要する地域…前記の地域を除く、非線引き都市計画区域のうち、用途地域が定められていない地域。都市計画区域外の地域…面積比34%(主に旧津久井地域)③開発に対し、標準的な配慮を要する地域…前記の地域と工業地域を除く地域…面積比24%(旧相模原市域)④産業の集積を図る地域…工業地域、工業専用地域、準工業地域…面積比2%‐の4つに区分した。
評価項目は大気環境、水環境、土壌環境)、廃棄物等、日照阻害(工作物による)、光害(夜間照明)。動物(生息)、植物、生態系。この他、電波障害、文化財等、地域分断、安全などから診る。
手続き面では、事業者が事業の構想・計画段階において、事業の位置や規模、施設の配置や構造などについて、複数案の検討を行うとともに、文献など既存データを中心に環境への影響について検討した結果をまとめた"配慮書"から始まり、どのような項目についてどのような方法で調べるかを示した"方法書"。予測し、評価し、対策を示す"準備書"。縦覧等で寄せられた意見を踏まえ作成した"評価書"の流れで進める。
審査については、附属機関として(仮称)相模原市環境影響評価審査会を設置する。
今後、11月の第10回での最終の議論を行い、県などとの調整を経て、12月の審議会に諮るという予定だ。