国土交通省の「媒介業務の円滑化に関する研究会」は、このほど不動産取引の中で消費者が必要とする情報と提供方法に関する取りまとめを行った。同取りまとめは、不動産取引全般をコーディネートする役割が期待されている媒介業者に焦点を当て、円滑な媒介業務を行うために必要な消費者への情報提供の方法、特に媒介業務の内容の明確化をはじめ、個人情報保護法の平成17年4月からの全面施行を踏まえたレインズ情報(指定流通機構が運営している不動産情報ネットワークシステム)の活用についても検討を行っている。
取りまとめのポイントは次のとおり。
[標準媒介契約約款への「媒介に含まれる業務」の追加]
国土交通省の告示により定めた標準媒介契約約款のうち、媒介契約書について、媒介業者に対して共通に課されている法律上の義務、媒介業務に共通して行われる業務について記載することにより、消費者に対して媒介業務の内容をより明確にする。
[業務処理状況の報告方法・報告回数、指定流通機構への登録期限の記載方法の弾力化]
媒介業者の事務の合理化、消費者の利便性の向上のため、業務処理状況の報告を電子メールでも可能とするほか、業務処理状況の報告頻度、指定流通機構への登録期限について、法令などの範囲内での自由な記述を認める。
[個人情報保護を踏まえたレインズ情報の活用]
レインズ(指定流通機構が運営している不動産情報ネットワークシステム)は、指定流通機構と多くの媒介業者との間でデータのやり取りを行うものであるため、指定流通機構のみならず、レインズを利用する媒介業者も含め、個人データの漏えいなどを防止するための厳格な安全管理の措置をとる。
[消費者向けの情報提供]
具体的な市場相場を知りたいという消費者のニーズに応えるためには、指定流通機構が個人情報の保護に十分配慮しつつ、「加工された成約情報」をインターネットサイトにおいて、広く消費者に提供することが極めて有効である。具体的な情報提供の方法については、地域ごとの特性も踏まえて検討する。
[不動産ジャパンによる情報提供の充実]
平成15年10月から、インターネットにおいて不動産ジャパン(不動産統合サイト)を創設し、物件情報や消費者に役立つ情報の提供を行っている。消費者が不動産取引の概要を分かりやすく把握する観点から、資金計画上の重要ポイント、不動産広告の読み方、契約の基礎知識などコンテンツを充実する。