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県ひとにやさしいまちづくり条例

2004/08/20 日本工業経済新聞(茨城版)

 県は、病院やホテルなどの公共的施設について一定の整備基準を定めている「茨城県ひとにやさしいまちづくり条例」で、施設整備基準等を一部改正し、今月12日付で公布した。施設整備基準の主な改正は<1>廊下及び敷地内通路に、視覚障害者用の誘導用床材と音声誘導装置を併設すること<2>トイレにオストメイト(人工肛門・人工ぼうこうの保有者)に対応した器具を設置すること。視覚障害者用の誘導用床材と音声誘導装置を併設することを条例で定めるのは、全国初となる。この整備基準は努力規定で強制力はないが、県では事業者に条例への理解を求めて、来年4月1日からの適用を図る。

 ひとにやさしいまちづくり条例は、高齢者や障害者を含むすべての人が安心して快適に暮らせるまちづくりを目指して平成8年に制定。

 条例では、病院やホテル、百貨店などの公共的施設を整備する場合、廊下や階段、エレベータなどに一定の整備基準を定め、公共的施設を建築する事業者に対して、建築確認審査の際に指導・助言を受けるよう定めている。

 今回の改正では、障害者の社会参加をより一層推進するため行ったもの。

 主な改正では、多くの人が利用する施設を整備する場合、廊下及び敷地内通路に視覚障害者用の誘導用床材と音声誘導装置を併設すると定めた。

 改正前は、視覚障害者用の誘導用床材と音声誘導装置は、いずれかを設置すればよいとしていたが、視覚障害者の積極的な社会参加と利用者の利便性向上のため、誘導用床材と音声誘導装置を併設する基準に改正した。

 なお、県内で誘導用床材と温泉誘導装置を併設している施設は、県庁舎、県立視覚障害者福祉センター、JR水戸駅、勝田駅、土浦駅、日立シビックセンター、竜ケ崎市役所、つくば市立中央図書館、新利根町ふれあいセンターなどとなっている。

 その他の改正では、トイレを整備する場合、オストメイトに対応した器具を設置することを新たに定めた。

 オストメイトは、人工肛門・人工ぼうこうの保有者のことで、近年の直腸がん、膀胱がんなどの増加に伴い、尿意や便意をコントロールできず特別な装具が必要なオストメイトは増加傾向にあり、茨城県内でも約3000人のオストメイトがいると推計されている。

 オストメイトの積極的な社会参加を推進するためには、装具の着脱・洗浄などの設備を備えた専用のトイレが必要だが、現在は公共的施設での整備が十分とはいえないため、対応器具の整備基準を設けた。

 県内でオストメイト対応トイレを設置している施設は、県庁舎、県立中央病院、水戸市役所本庁舎、土浦市役所、十王物産センター、ふじしろ中央図書館、土浦京成ホテルなど。

 これらの整備基準は努力規定で強制力はないが、県では事業者などに改正内容の周知を図り、来年4月1日から適用する。



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