(株)東京商工リサーチ前橋支店(中島聖二支店長)は、同社が独自調査した資料を用いて「県内の主要29業種別の売上高ランキング(年商10億円以上)」をまとめた。調査によると、土木・建築工事業をはじめとする建設業界では、公共工事の減少や民間設備投資の低迷を背景に受注競争が激化し、企業の売上高、製造品の出荷額等が前年を下回っている傾向にあるとしている。市場の縮小とともに増収率の高い企業と低い企業の二極化も見られるほか、中国の好景気を要因とする鋼材価格の大幅な上昇により、一部の卸売業者では業績の好転も見られるなど、各業種の特長が顕著に表れている。弊紙では建設業界の関連業種について、売上ランキングとその特長などをシリーズで紹介する。
◇景気の底離れ建設業は実感薄
調査報告によると、土木・建築工事業の現状について、国の進める構造改革の進行に伴い、公共工事は年々減少しており、数少ない工事を都内の大手ゼネコンも含めて県内外の多数の建設会社で取り合うといった競争が続いているとまとめる。徹底した受注単価の「たたき合い」により、なかには支払手形決済のために、採算割れで受注する企業も見られ、これによる値崩れが建設業界を一段と苦境に立たせる原因のひとつになっているとも指摘している。
◇開拓力で勝ち組負け組の明暗が
また、ここ数年来で着実に業績を伸ばし利益を確保している企業として、旧来型の官公庁の入札に依存せずに一般個人を中心に営業を展開している(株)やすらぎ(桐生市)と(株)サンエイ(群馬町)を例に挙げている。
ランキング上位に位置する要因のひとつとして、毎年、一定の利益確保が見込まれる官公庁受注と比べて、ゼロからの営業となる厳しさはあるものの、民間受注を開拓できる体制を作り上げているために、ある程度の適正な粗利は確保しやすい面があると分析している。
同社では、不況下で立ち直りが遅れがちな土木・建築工事業に対して「金融機関はバブル期に抱えた不良債権処理が手一杯で地域の企業を支えるどころではない--といった危機的状況から少しずつ落ち着きを取り戻しつつあり、機能が回復すれば業界の大きな力になる」とし、各企業が旧来のスタイルからの体質改善を進めて、流れに遅れないような経営努力が必要だとしている。