消防学校・防災センターの整備に関する検討会(座長・中井正一千葉大学大学院工学研究科教授)の最終となる第4回目が26日、県庁南庁舎で開催され、意見のとりまとめが行われた。施設の立地場所については市原市と佐倉市の2か所に絞り込んだ。今後、県が事業費用なども考慮し、検討会での意見を踏まえ早急に候補地を選定する。また県防災危機管理部は、早期の開校を目指し、来年度の県予算に事業費を要望する考えを示し、消防学校の機能や配置の考え方などを盛り込んだ基本構想を策定する予定であることを明らかにした。
立地場所については、前回の検討会での委員の提案を受けて、事務局から候補地となっている佐倉市、市原市、印西市(2か所)、山武市を段階評価した結果が提示された。
評価項目は、①教育訓練施設を機能的に配置できる土地の広さ②全県下から通学する消防職員、自主防災組織、消防団員が利用しやすい交通アクセス③ヘリコプター離発着の騒音など周辺への配慮――の3項目を優先項目として設定し、これをもとに4か所の候補地をAとBの2段階で評価した。
評価結果は、土地の広さは、すべての候補地で有効面積6haを確保することができA評価となったが、山武市と印西市の2市は交通アクセスや周辺環境でB評価があり、3項目ともA評価となった佐倉市と市原市が望ましいとの結論に達した。ただ、佐倉市は土地が不整形で、盛土や造成、文化財調査が必要なこと、市原市は液状化が「ややしやすい」ことなどの付帯事項が加えられた。
また委員からは、候補地の選定で土地取得費など費用面に触れていないのはどうかとの意見も出された。今後、県が事業費用などを含めた検討を行い、最終的な候補地を決定する。
市原市の用地は、市原市菊間地先にある市原スポレクパーク約20haのうちの約6・1haの県有地。佐倉市の用地は佐倉市岩富地先の約12・89ha。用地は市道を挟んで南側と北側に分かれ、佐倉市と県土地開発公社が所有する。
一方、機能面では、消防学校は①消防職員に対して高度な教育訓練が十分に実施できる機能及び施設②現場活動に則したチームワークの醸成③プライバシー等にも配慮した施設④消防団員が受講しやすい実戦的訓練教育の充実――などを重点的に整備することとした。また防災センターは、防災教育・研修に特化し、名称も「防災研修センター」が適当とした。新防災センターが防災教育・研修に特化することから、松戸市にある西部防災センターは、体験型学習機能を担う施設として位置づける。このほか、自衛隊等救援部隊の集結・活動機能や救援物資の集配機能等の広域防災拠点は、別途「防災支援ネットワーク」の中で検討を進めることとした。
県の消防学校(千葉市中央区仁戸名町666―2)は、供用開始から42年が経過し老朽化。本館のIs値も0・34で耐震不足が指摘されている。県では当初、「防災拠点」として消防学校と防災センター及び災害時の集配拠点となる総防災支援ネットワークを一体的に整備する計画でいたが、東日本大震災を踏まえ、大規模災害時の他県からの救援については防災支援ネットワークで検討することとし、老朽化の著しい消防学校は別途建て替える方針に転換。本年9月に同検討会を立ち上げ検討を進めていた。