農林水産省の「植物新品種の保護に関する研究会」は24日、中間とりまとめを明らかにした。優良な植物新品種を適切に保護するための育成者権の存続期間の延長をはじめ、国内における効果的な育成者権侵害対策の促進、国民に対する植物新品種保護の重要性のPRなどが盛り込まれた。年内に最終報告がまとまる。
知的財産の創造・保護・活用による日本の産業の国際競争力の強化を目指す知的財産基本法が平成14年11月に制定されたことを受け、現在、政府が中心になって「知的財産立国」の実現に向けた取り組みが行われている。
このような状況の中、農林水産分野の重要な知的財産である植物の新品種については、近年、不法に持ち出した日本の育成品種を用いて海外で生産された農産物が日本に逆輸入されてくる事例が顕在化してきた。このため、昨年、種苗法が改正され、育成者権侵害に対する罰則が強化されるとともに、関税定率法の改正により、税関における育成者権侵害物品の取締りが開始された。
今回の中間とりまとめは、植物新品種の保護について、今後必要と考えられる対策を幅広く検討したもので、優良な新品種を適切に保護するための育成者権の存続期間の延長、育成者権の効力の例外とされる農業者の自家増殖の制限のあり方についての再検討、海外における戦略的な育成者権の取得・活用の促進、アジアの国々などに対する新品種保護制度の整備・充実・運用改善の働きかけ、国内における効果的な育成者権侵害対策の促進、国民に対する植物新品種保護の重要性のPR、などが盛り込まれた。