我孫子市布佐東部地区復興対策室は11日の住民説明会で、市街地液状化対策や土地境界復旧に伴う地籍整備型土地区画整理事業の実施について説明した。市街地液状化対策については、市街地液状化対策事業計画策定業務を委託している千代田コンサルタントと近く随意契約を結び、2月から実証実験に着手する。実験予定地は、被害家屋を除却した民地。6か月ほどかけて地下水位低下工法の実証実験を行う。また、地籍整備型土地区画整理事業は、「所有権界」と「筆界」を一致させるために約10haを対象に実施するもので、6月に事業計画を決定し、年内の仮換地指定及び換地処分、来年6月の事業完了を目指す。
市街地液状化対策については、12年度に市街地液状化対策事業計画策定業務を千代田コンサルタントに委託。現在、地下水位低下工法と締固め工法の二つの工法を検討している。これまでの検討では、地下水位低下工法による布佐東部地区の地盤沈下予測は、計算上では10年間で30㎝程度とされ、周辺に及ぼす影響が大きいとして、市は同工法の採用を困難視していた。
しかし、実証実験を行った他の自治体においては、実際の沈下量が計算上の沈下予測量より少ない例もあることから、布佐東部地区においても地下水位低下による地盤沈下が予測値より小さくなる可能性もあるとして、現地において実証実験を行うことにした。地下水位低下工法の方が住民負担が少なくて済むことから、実証実験後に住民意見も踏まえて対策工法を決定することにしている。
実証実験は2月に着手。位置を確定したうえで、同中旬から止水矢板や水位観測井戸・揚水井戸、間隙水圧計・層別沈下計、大型土のう・地盤高観測杭・基準点の設置に取りかかり、3月から揚水試験及び現地観測を開始する。実証実験は、最終的に6か月程度継続する予定で、今年6月から9月ごろにかけて開く予定の住民説明会で、最終的な対策工法を盛り込んだ事業計画を提示し、公共施設と一体的な液状化対策への同意を取りまとめる。
住民同意が3分の2以上得られた場合は、市街地液状化対策事業の実施に向けて準備を進める。一方、住民同意が3分の2未満の場合は、公共施設の液状化対策は、すでに災害復旧工事で必要な対策が講じられていると判断し、追加の対策は実施せず、民地の液状化対策については個々に適切な対策が講じられるよう、支援策を検討する。
次に、地籍整備型土地区画整理事業は、所有権界と筆界を一致させることを目的に実施するもので、一般的な土地区画整理事業のように道路・公園などの公共施設整備や宅地整備は行わない。施行面積は約10haで、今年5月ごろまでに都市計画決定や事業認可等の手続きを進め、6月に事業計画を決定。その後、年内の仮換地指定及び換地処分を経て、来年3月から5月ごろに土地・建物の登記を行い、同6月の事業完了を目指す。
市はこれまでに、区域境界確定のための測量を実施し、敷地境界(所有権界)までは確定しているが、震災による不規則な土地の移動もあり、震災前の公簿上の敷地境界(筆界)とは一致していない。このため、所有権界と筆界を一致させることを目的に、地籍整備型土地区画整理事業を実施することにした。
布佐東部地区における復旧事業の進捗状況は、水道施設の復旧工事を12年7月、下水道施設の復旧工事を13年6月にすべて完了。現在、今年3月末の完了を目指して道路の復旧工事が進められている。また、復興市営住宅(土木工事を板橋建設、建築本体工事を山田建築、電気設備工事を山一電気工業、外構整備工事を山口緑化が受注)は昨年10月から工事に入ったが、液状化対策工法の調整に時間を要し、本格的な着工は12月にずれ込んだ。
また、国道356号都交差点から利根川に安全に行き来できる歩行者自転車用通路の整備は、本年度中に設計を行い14年度で整備を実施。災害時には一時避難所や在宅被災者用支援等に活用し、平常時は防災活動や地域活動の場となる防災拠点施設は、14年度に用地取得及び設計を行い15年度に建設する。
このほか、県道千葉竜ケ崎線の歩道整備については、都交差点~ファミリーマート間の印西側の歩道を4mに拡幅するため県が用地買収を行っており、都交差点の歩行者溜りの確保とともに、今年8月末の完了を目指している。