第2回千葉県県土整備公共事業評価審議会(会長・榛澤芳雄日本大学名誉教授)が15日、県文書館で開催され、主要地方道越谷流山線バイパス「(仮称)新流山橋」の事前評価について審議し、新規事業着手を妥当とした。来年度から総事業費約100億円を投入する大型事業がスタートする。江戸川に架かる新流山橋は、本県と埼玉県の共同事業として実施し、事業費68億円を本県と埼玉県で折半する。
同事業は、流山橋周辺地域の交通混雑緩和、つくばエクスプレス沿線開発に伴う幹線道路ネットワークの強化を図ることを目的に、江戸川を渡河する新橋を整備する。
事業期間は2014~27年度の14年間。事業区間は流山市三輪野山~埼玉県三郷市田中新田。本県の主要地方道松戸野田バイパスと埼玉県の主要地方道三郷松伏線を結ぶ。
埼玉県を含む事業延長は1・96㎞。このうち本県の延長は1・28㎞(新流山橋0・45㎞、千葉県取付部0・83㎞)。道路幅員は新流山橋が23・8m、取付部が23・8~32・0m(4車線)。道路規格は4種1級で時速60㎞。計画交通量は日量3万3800台を見込む。
全体事業費は約100億円(用地補償費約21億円、工事費約79億円)。内訳は新流山橋34億円、本県取付部66億円。橋梁の総事業費は約68億円で、本県と埼玉県で2分の1ずつ負担する。事業は社会資本整備総合交付金事業を活用する。
全体の事業スケジュールは、14~15年度で調査設計を行い、17年度までに用地を取得し、16年度に本工事に着工、27年度末の供用開始を目指す。
事業評価では費用便益比を分析。総費用120億円に対し総便益1056億円で、費用便益比は8・8と総費用を大きく上回り、効果が認められた。社会的効果でも、流山橋の混雑緩和、生活圏の拡大、流山市街地から獨協大学越谷病院(3次救急医療機関)までの病院収容時間の短縮、災害時の流山橋の代替ルート確保などの課題に対し有効であるとした。
一方、事業評価ではつくばエクスプレス沿線地域で、土地区画整理事業や大規模商業施設が進出し、交通量が増加していることから、事業効果の早期発現のため、先行2車線整備及び有料道路事業の活用も検討することとした。
河川4事業は継続
今回の事業評価委員会ではこのほか、社会資本整備総合交付金事業の①一宮海岸浸食対策②一級河川利根川水系根木名川・派川根木名川・十日川③二級河川海老川水系海老川・飯山満川④二級河川一宮川水系一宮川の4事業の再評価を審議し、いずれも事業の継続を妥当とした。
一宮川の浸食対策は、波浪等による海岸の浸食を防止するため、海岸保全施設を整備する。総事業費115億円に対し、これまでに事業費75・5億円を投入し、進捗率は65・6%。残事業はヘッドランド1678mなど。本年度を基準年とする費用便益比は、総費用173億円に対し総便益657億円で3・79。事業終了年度は17年度を予定。
根木名川・派川根木名川・十日川は、根木名川のみならず3河川流域を含む一帯の治水安全を図るため、3河川の河道改修を一つの事業として実施。延長は根木名川が15・01㎞、派川根木名川が3・3㎞、十日川が3・1㎞。全体事業費は85・7億円で、これまでに17・5億円を投入。残事業費は68・2億円。進捗率は20・4%。費用便益比は、総費用68億円に対し総便益が305億円で4・5。残事業の費用便益比も5・7で投資効果が認められた。
海老川・飯山満川は、飯山満川流域で、土地区画整理事業による流出増に対応するため、時間50㎜相当の治水安全度を確保する治水対策を実施。総事業費627・2億円に対し、これまでに328億円を投入。残事業費は298・9億円で、進捗率は52・3%。費用便益比は、総費用1290億円に対し総便益8612億円で6・7。残事業の費用便益比は1・4。
一宮川は、流域開発による流出増が懸念されるため、治水安全度を図る目的で、河川改修7040m、掘削・浚渫171万7000立方m、築堤1万3320mなどを実施。総事業費109億円に対し、これまでに87・1億円を投入。進捗率は79・9%。費用便益比は、総費用132億円に対し総便益が194億円で1・5。残事業の費用便益比は1・8。