小田原城の整備や保存に関し、意見を述べる学識者で成る市の機関「史跡小田原城跡調査・整備委員会」は17日、郷土文化館において平成25年度第2回委員会を開催し、市が計画する小田原城耐震補強工事に関する報告を受けた。プレキャストブロック耐震補強工法により、補強を施すもので、26年度に実施設計、27年度から工事着手というスケジュールだ。
小田原城は、小田原駅から近い、中心市街地内の城内にある。国指定史跡で、市教育委員会などによると1400年代の築城と言われ、江戸時代に天守閣がそびえる近世城郭になった。明治3年(1870)に廃城となり、破却されたが、昭和35年に天守閣は鉄筋コンクリート造で、3層4階、延床面積1、822平方mの規模で、再建されている。
耐震計画は、天守閣が鉄筋コンクリート製の建物の耐用年数が50年から60年と言われ、50年以上が経過し、耐震改修の必要に迫られていることや、市の耐震改修促進計画で平成27年度までに改修を行うよう位置付けられていることから立てられた。
委員会での市の説明によると、耐震改修に際しては、倒壊、又は崩壊する危険性が低いと言われるIs値≧0・6を目標に立て、在来工法(RC造耐震壁補強)、プレキャストブロック耐震補強工法、制震工法、免震レトロフィット工法の中から、費用、工期の視点から比較検討を行い、工期が短く、費用面などからプレキャストブロック耐震補強工法(3Q-WALL)を選定した。同工法は、在来工法と同じく水平耐力を増大させるやり方。在来と異なり、高強度のプレキャストブロックを柱・梁フレーム内に組積する仕組み。0・6(0・75以上は困難)が確保でき、工期3~6ヶ月程度。展示スペース減少、動線など展示への影響大きいが、外観変化無い。費用は1億4、680万円と試算している。これには、補強と合わせて必要となる仮設、屋根及び外壁補修、展示、空調等の費用、諸費用は含まれていない。大阪城のような再アルカリ化は施さないが、工事により、10年から20年のオーダーの耐用年数となるという。
市では、この3月補正予算で実施設計を組み、4月にも入札・契約の手続きを踏み、27年度に工事、28年度オープンというスケジュールで取り組むことを説明した。