ひたちなか地区開発整備推進協議会(会長=橋本昌知事)は、ひたちなか地区開発計画地(合計1182ha)で進められている国営常陸海浜公園整備事業や常陸那珂港整備事業、那珂久慈流域下水道事業など16事業の進ちょく状況と今後の見通しをまとめた。それによると、各事業を合計した全体事業費は1兆211億円。そのうち平成15年度末までの進ちょくは5266億円(進ちょく率51・6%)。16年度事業費は90億円で、17年度以降の残事業費は合計4855億円となっている(別表参照)。主な事業の今後の整備計画は<1>常陸那珂港では東防波堤、中央ふ頭の段階的整備(残事業費3875億円)<2>那珂久慈流域下水道では管渠の延伸、ポンプ場整備、処理場の増設など(残事業費497億円)-など。
進ちょく状況は、このほど開催した「第1回ひたちなか地区都市整備の方向等検討委員会」(委員長=山形耕一茨城大学工学部長)で示した。
ひたちなか地区の土地利用の経緯をみると、昭和48年3月に水戸対地射爆撃場が米軍から日本に返還され、昭和56年11月には国の国有財産中央審議会が処理大綱を示し、国営公園や流通港湾の整備など必要な諸施設を配置することを提示。
それらを受けて県では昭和60年7月に「常陸那珂国際港湾公園都市構想」を策定し、流通業務機能や研究開発・生産機能、レイクエーション・リゾート機能など導入する機能をまとめ、さまざまな整備を進めてきた。
さらに、ひたちなか地区開発整備推進協議会では、平成5年7月に「ひたちなか地区における都市整備の方向」を決定し、土地区画整理事業地(258・7ha)の土地利用を定め、ひたちなかテクノセンターや商業施設、県営住宅などの整備を進めている。
しかし、土地区画整理事業地内では保留地が約179haあり、協議会では、保留地処分を進めるため、学識経験者や地元企業・住民代表、行政代表で構成する検討委員会を立ち上げ、検討に着手した。
第1回会合では、地区の現況や課題について整理するとともに、ひたちなか地区開発計画の進ちょくをまとめて示した。
それによると、全16事業を合わせた全体事業費は1兆211億円。そのうち、15年度末までに実施した事業費は5266億円(進ちょく51・6%)。
16年度事業費は合計90億円で、17年度以降の残事業費は4855億円となっている。
16事業のうち、常陸海浜広域斎場、自動車安全運転センター中央研究所など6事業が完成している。
現在も整備が進んでいる主な事業の今後の整備計画は<1>常陸那珂港では東防波堤、中央ふ頭の段階的整備(残事業費3875億円)<2>那珂久慈流域下水道では管渠の延伸、ポンプ場整備、処理場の増設など(残事業費497億円)-などとなっている。
射爆撃場返還国有地処理大綱(昭和56年11月)に基づく事業の進ちょく状況と今後と整備計画は次のとおり。
【常陸那珂港整備事業】
◆事業主体=国土交通省・茨城県。
◆計画概要=計画面積695ha(埋立501ha)。取扱貨物量2600万t/年。計画施設は公共ふ頭(北、中央、南)、係留施設42バース(うち公共37バース)、防波堤6750m(東、北、中央)。
◆整備状況=昭和58年6月港湾計画決定、H1年7月起工式。H5年5月第4埠頭海上工事着手。H9年1月北ふ頭本格埋立開始。H10年12月北ふ頭内貿地区供用開始。H13年2月中央ふ頭地区本格着工。
◆今後の整備計画=東防波堤、中央ふ頭の整備を段階的に実施する。
【国営常陸海浜公園整備事業】
◆事業主体=国土交通省。
◆計画概要=計画面積350ha。年間利用者約240万人/年。土地利用計画は「6つのゾーン」(海浜、砂丘、草原、カルチャー、スポーツ、樹林)。
◆整備状況=S54年度事業採択。S58年2月基本計画策定。S58年4月都市計画決定。S59年11月起工式。H3年10月第1期開園(70ha)、順次、追加供用。現在の開園面積は116ha(約33%)。
◆今後の整備計画=現在、基本計画の見直し作業中。全体を<1>樹林<2>草原<3>砂丘・海浜-の3つのゾーンに区分し、今後は、「みはらしの丘」、プレジャーガーデン、中央口周辺、砂丘・海浜ゾーンの入口となる海浜口を中心に整備を進める。
【常陸那珂火力発電所】
◆事業主体=東京電力(株)。
◆計画概要=常陸那珂港北ふ頭(工業用地内)の敷地約141万㎡。出力は1号機・2号機とも100万kw。1号機はH10年12月着工、15年12月運転開始。2号機は12年7月着工。運転開始は22年度以降。
◆整備状況=S54年5月東京電力、電源開発が国に発電所立地要望。S63年11月知事が計画同意。H5年3月公有水面埋立免許取得。10年12月1号機着工。12年7月2号機着工。13年3月2号機の運転開始時期を当初の17年12月から22年度以降に繰り延べ。14年3月2号機の事業主体が電源開発から東京電力に移譲。
◆備考=電力需要の鈍化や需要構造の変化などにより、過剰設備にならないように新規電源開発の繰り延べを決定。
【自動車安全運転センター中央研修所】
◆事業主体=(特)自動車安全運転センター。
◆計画概要=面積100ha。施設は<1>研修コース(高速周回路1周5km、モトクロコース6ha、基本訓練コース3haなど)<2>管理棟ゾーン(6ha)<3>付属交通公園7ha-など。研修人員7万人(年間計画)。
◆整備状況=S51年2月警察庁と国土庁に返還国有地の使用依頼。S62年8月国と自動車安全運転センター、研修所用地(33・3ha)の売買契約締結(残り66・7%は現物出資)。S62年9月建設着工。H3年5月業務開始。
【核燃料サイクル開発機構東海事業所】
◆計画概要=面積34ha。施設は実規模開発試験室、資材庫、輸送用地保管施設、中央運転管理棟、地質処分基盤研究施設など。
◆整備状況=S59年3月国と動燃が拡張用地(7・5ha)の売買契約締結。S62年12月知事が跡地利用計画承認。S63年3月国と動燃が拡張用地(26・5ha)の売買契約締結。H14年2月知事が跡地利用に関わる施設配置計画(見直し)承認。
◆今後の整備計画=14年度に策定した施設配置計画に基づき、各種施設を整備。17年度に日本原子力研究所と統合予定。
【那珂久慈流域下水道事業】
◆事業主体=茨城県。
◆計画概要=計画区域10市町村、処理人口44万3000人、幹線管渠82・4km、処理水量28万立方m/日、処理場面積35ha、事業計画年度S52年度~H27年度。
◆整備状況=S53年3月事業認可。昭和57年1月都市計画決定、事業認可、管渠工事着手。S59年7月国と県が終末処理場用地の無償貸付契約締結。S59年9月処理場着工。H1年4月処理場供用開始。H10年広域汚泥1号焼却炉供用開始。
◆今後の整備計画=管渠の延伸、ポンプ場の整備、処理場の増設などを随時、実施していく。
【ひたちなか市長砂公園】
◆事業主体=ひたちなか市。
◆計画概要=面積3・1ha。
◆整備状況=S61年3月国と勝田市が用地(1ha)の売買契約等締結(残り2・1haは無償貸付)。S61年8月都市計画決定。H2年2月供用開始。
【ひたちなか市総合運動公園】
◆事業主体=ひたちなか市。
◆計画概要=面積19・5ha。施設は総合体育館、陸上競技場、市民球場、テニスコート、スポーツ広場、レクリエーション広場。
◆整備状況=S62年12月国と勝田市が用地(6・5ha)の売買契約締結(残り13haは無償貸付)。S63年1月都市計画決定。S63年着工。H2年2月野球場供用開始。H9年10月総合体育館・陸上競技場供用開始。
【ひたちなか市那珂湊運動公園】
◆事業主体=ひたちなか市。
◆計画概要=面積12ha。施設は野球場(第一、第二)、テニスコート、多目的運動広場、相撲場。
◆整備状況=S58年4月都市計画決定。S58年7月国と那珂湊市が用地(4ha)の売買契約締結(残り8haは無償貸付)。S58年10月着工。S60年7月供用開始。
【馬渡配水場】
◆事業主体=ひたちなか市。
◆計画概要=面積2・2ha。施設は配水池1万5000立方m×2池、配水ポンプ室。
◆整備状況=S62年国と勝田市が用地の無償貸付契約締結。S63年着工。H3年3月供用開始。H11年3月配水池(2池目)完成。
【茨城県漁業無線局】
◆事業主体=茨城県。
◆計画概要=面積1ha。施設は鉄塔5基、庁舎。
◆整備状況=S58年3月国と県が用地の売買契約締結。着工。S60年2月供用開始。
【常陸海浜広域斎場】
◆事業主体=ひたちなか・東海広域事務組合。
◆計画概要=面積2・3ha。施設は火葬部門、待合い部門、斎場部門など。
◆整備状況=S58年4月都市計画決定。S58年7月国と事務組合が用地の無償貸付契約締結。S58年12月着工。S60年8月供用開始。
【阿字ケ浦土地区画整理事業】
◆事業主体=ひたちなか市。
◆計画概要=面積約83・4ha(跡地約11・7haを含む)。施行期間H2~H23年度。道路1万7430m、公園約4万2780㎡。
◆整備状況=H1年2月都市計画決定。H1年4月国と那珂湊市が市街地整備用地(11・7ha)の売買契約締結。H2年11月事業認可。H8年仮換地指定。
◆事業進ちょく(H15年度末)=家屋移転34戸(約14%)、都市計画道路921m(約20%)、区画道路約2160m(約17%)。