水戸市は22日、市新庁舎建設設計者選定に係る公募型プロポーザル二次評価の審査結果を公表した。代表企業の最優秀者(優先交渉権者)に㈱久米設計(東京都)、市内企業の最優秀者(同)に㈱柴建築設計事務所(水戸市)をそれぞれ選定した。次点者(次点交渉権者)は㈱松田平田設計(東京都)と㈱横須賀満夫建築設計事務所(水戸市)だった。今後は最優秀の両者でJVを結成し、5月下旬ごろに契約を締結、2016年3月までに設計をまとめていく。当初予算では新庁舎基本・実施設計事業として2カ年3億2000万円(14年度=9600万円、15年度2億2400万円)を計上した。
新庁舎の設計者選定については19日、公開プレゼンテーション・ヒアリングが水戸駅ビルエクセルで行われた。
久米設計は、実施方針として「偕楽(みなでたのしむ)庁舎 みなが楽しく生甲斐を感ずることの出来る、彰往考来の精神をもった庁舎づくり」を提案。質実剛健で誰もが利用しやすい庁舎を実現する。
総合防災拠点にふさわしい最高の安全性能をもつ庁舎とするべく耐震杭と半固定杭頭工法や高性能柱頭免震構造を採用し、PCaPC造とPCa造の組み合わせによる経済的なロングスパン架構としている。水害には周囲地盤レベルより1階を1・5m高くし、機械室を最上階に設置することで対応する。
建物(RC造8階建て)は白壁で敷地の南側に配置するイメージ。東側は仮設ステージや大型スクリーンのある「偕楽劇場」(円形広場)とする。
駐車場は北側に245台と地下1階に免震層駐車場150台分を配置。また、駅南口から新庁舎まで歩行者を香りの道「アロマロード」で導くことを提案し、四季に香りのする木やミントなど水戸藩に由来のある薬草を植え、水戸ならではの魅力を高める。
1階には庁舎の総合案内としてコンシェルジュを配置。中央には窓口を置き、市民利用スペース(カフェラウンジ)、売店なども設置する。2~7階は執務室および市民協働エリアとし、最上階に議場や展望レストランなどを配置する。
環境面については、自然環境と積極的に接触しながら高い省エネルギー性能を発揮する次世代型スマート庁舎とする。太陽光導入プリズムルーバーや高効率ガス熱源機器、エコボイド、屋上緑化などを採用。従来庁舎よりも光熱費を約40%縮減する。また、既存庁舎のガラスやサッシなどを再利用する。
市内企業の柴建築設計事務所は、「『水戸らしさ』を紡ぐ~新しい出会いと発見のまちに向けて~」と題し、市内の観光資源や地域素材を生かした「みーと・スクエア(meet square)」を提案。新たな出会いや発見を呼び起こす起点としての役割をもたせる。
庁舎前の広場は市民の集いの場とし、祭りやイベントの活動拠点として多目的に活用する。新庁舎の屋上庭園からは千波湖を望む新たな眺望を確保し、来庁者に開放することで新たな観光資源の活用を図る。
また、偕楽園を新庁舎の前庭として捉え、偕楽園(表門)から庁舎(正門)へのルートを市民が歩く「登庁イベント」を提案。水府提灯をイメージした外灯を設定する。
新庁舎は消防本部庁舎と水道部庁舎を一体化して現在地(A2万2487・03㎡)に建て替える。規模は延べ約3万3000~4000㎡程度。概算総事業費は151億円。本体工事は16年7月ごろに着工し、18年8月の供用開始を目指していく。
本年度は設計を進めるほか、市民会館(RC造(一部S造)4階建て延べ床面積7497・92㎡)の解体に着手する計画。当初予算には解体工事費3億5000万円を計上している。
【図=代表企業提案の新庁舎イメージ】