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JR東海がリニア大深度地下で説明会

2014/04/24 日本工業経済新聞(神奈川版)

 リニア中央新幹線の建設を計画する東海旅客鉄道㈱(JR東海)は22日、大深度地下トンネル建設に伴い、沿線住民を対象とした説明会を川崎市民プラザ(高津区)において開催した。工事に向け手続きの進め方、工法などについて説明したうえ、住民からの質問に答えた。

 リニア中央新幹線は、三大都市圏を高速で安定に結ぶ幹線鉄道路線の充実、開業後50年を目前とした東海道新幹線のバイパス機能を担うことなどを目的に構想が立てられた。東京の品川駅付近を起点に、川崎市、相模原市を経て、山梨県のリニア実験線に向かい、そこから南アルプスを抜け、名古屋市に至る全長286㎞の路線。超伝導磁気浮上方式で、最高時速500㎞で走り、東京から名古屋をおよそ40分で結ぶ。途中、神奈川、山梨、長野、岐阜県内に1駅ずつ設ける。途中、東京都、神奈川県、愛知県内の一部では、地下室の建設のための利用が通常行われない深さ(地下40m以深)及び、建築物の基礎の設置のための利用が通常行われない深さ(支持地盤上面から10m以深)の"大深度地下"を走る。

 大深度地下のトンネルは、首都圏では品川区から川崎市を経て、町田市と相模原市との境までの延長35㎞がそれに当たり、土被り40m~110mの深さで、シールド工法を用い掘り進む。

 この日は、JR東海の中央新幹線建設部の担当者が説明に当たった。説明によると大深度地下は品川区北品川3丁目から始まり、大田区を通り、多摩川の下を抜け、中原区等々力へ。そこから高津区千年新町、宮前区野川、麻生区東百合丘3丁目を経て町田市に入り、相模原市中央区との境の町田市小山町までが対象となる。そこから橋本駅付近に設置される神奈川県方面では大深度法の枠を外れるものの地下で行く。この他、大深度地下の定義や、これまで東京外郭環状道路で採用されていること。県内ルートと深さ、今後の手続きの流れについて説明を行った。

 集まった住民らからは、地盤沈下、振動、騒音などへの影響に対する質問が寄せられた。土地価格の下落に心配を寄せる声も上がった。

 これに対し、JR東海では、強固な地盤により、さらに深いところを抜ける。今までの施工実績からも沈下はない。漏水の発生はまずないと考えていると答えほか、今後も事業の節目で、説明の場を設けていくことを伝えた。

 説明会は21日には大田区で開かれ、22日には高津区のほか愛知県で催された。

 JR東海では、大深度地下での施工に向け、3月に大深度地下の公共的使用に関する特別措置法に基づいて、事業概要書を作成し、道路、河川、鉄道、通信、電気、ガス、上下水道など公共の利益となる事業を施行できる事業者を対象に、事業の共同化や事業区域の調整など事業間の調整の手続きに入っている。

 今後は、大深度地下使用の認可申請に向けて、事業区域が大深度地下にあることを確認するための地質調査や物件(井戸)調査などの現地調査、関係機関との調整等を行う。


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