東京オリンピックや茨城国体が控えている昨今、本県は企業立地件数もトップに返り咲き、経済に明るい兆しが見えている。そんな中、「震災からの復旧復興はもちろんだが、明るく元気な茨城づくりに向けた目標を掲げる時期に来ていると思う。土木部として前向きに具体的な成果を出すため重点投資してまいりたい」と話す。茨城の県土づくりの舵取り役を担う渡辺学県土木部長に話しを聞いた。
―就任しての抱負
抱負として、次の3つを柱としたい。まず震災からの早期の完全復旧を進めたい。次に、安全安心で快適に暮らせる生活大県づくりとして、防災減災や老朽化への対策、日常生活に密着したインフラ整備などを行いたい。それから最後に、元気で住みよい茨城づくりとして、茨城を発展軌道へと乗せるための取り組みを行いたい。
―具体的には?
まず震災からの早期復旧では、いまだ通行止めの北茨城大子線のほか、里川橋、静跨線橋、港湾の埠頭用地の鋪装の一部や上屋といった県管理施設について、本年度中に完全復旧してまいりたい。また復興交付金を活用した液状化対策や災害公営住宅の建設、防災集団移転などについてもしっかり支援してまいりたい。
次に防災・減災対策では、橋梁の耐震化や法面補強のほか、海岸や河川の堤防嵩上げといった沿岸部の津波対策、耐震強化岸壁の整備、インフラ老朽化対策に力を入れる。
そのうち堤防の嵩上げについては、これまでの調査設計を踏まえいよいよ着工する。インフラ老朽化対策は、橋梁やトンネルなどを前年度に総点検した。今後、橋梁長寿命化修繕計画の更新などを進める。
また民間建築物の耐震化も平成27年度までの診断が新たに義務化された。市町村と協力して病院や旅館などへ診断費用を補助してまいりたい。
さらに元気ある茨城づくりとして、圏央道や東関道水戸線といった広域交通ネットワークの早期全線開通、国道6号や筑西幹線道路、美浦栄線バイパスなど広域幹線道路の整備促進、茨城港や鹿島港の整備促進を進めたい。特に東関道水戸線では、国に早期着工してもらえるよう、潮来から鉾田間の用地取得に力を入れてまいりたい。
―事業を進める上で懸念されること
復興予算や補正予算が組まれているが、早期に執行されなければ意味がない。また高騰する単価の問題もある。さまざまな問題を解決していきながら、円滑に事業執行していかなければならない。
―入札制度への対応
国では品確法の改正が間近。国の動きを見極めながら、茨城県が適応できる部分、良い方向を決めていく。そのプロセスとして、さまざまな人から話を聞いたり分析していくことが大切。
不調不落については、先般も、県建設業協会や県建築士事務所協会と建築工事を中心に対応策を議論した。今後も適正価格での契約ができるよう、適切かつ柔軟に対応してまいりたい。
―地元建設業者への対応
建設業界は非常に重要な役割を担っている。老朽施設の維持管理はもちろん、緊急事態の時の対応など無くてはならない存在。適正な価格で仕事をしてもらえるよう、しっかりとした発注や入札方法で、力を発揮できる業態になる環境づくりを整えてまいりたい。
プロフィール
1964年(昭和39年)5月17日、札幌生まれの49歳。北海道大学工学部土木工学科卒、同大学院土木工学専攻修了。1990年(平成2年)に建設省へ入省。以降、本省のほか、鳥取、福岡など全国各地の出先も経験。東京国道事務所長、県土木部都市局長を経て4月から県土木部長に起用。東京都目黒区に妻、息子2人が在住。水戸市内に単身。趣味は、ぶら歩き、ドライブ、温泉。モットーは『有言実行』。
【写真=渡辺土木部長】